気候ポッド 第53回 ~ リスナーさんと日常会話をしてみる ②: 広く受け入れてもらえる&効果的な気候アクションってあるの? 今回のエピソードは、Just Stop Oilやラスト・ジェネレーションなどによる、ゴッホの「ひまわり」にトマトスープのような、非暴力の直接行動、いわゆる市民的不服従運動が話題になった際に、気候科学者や環境活動家からもあがった「そんなやり方じゃ受け入れてもらえない」「逆効果だ」「非効率的なやり方だ」という声を受けて、Twitterで募集した以下の質問への回答をとりあげて話をしています。
【質問】気候変動対策を進めるために、①どんな抗議活動や発信方法が「広く受け入れてもらえる」と思いますか?
また、②どんな抗議活動や発信方法が「気候変動対策を進めるために効果的」だと思いますか?
一緒に考えながら聴いてもらえるとうれしいです。なにか思い浮かんだら、ブログへのコメント、メッセージ、TwitterへのメンションやDMなどお待ちしています。
あと、Spotifyのスマホアプリ限定(デスクトップでは出てこない)なのですが、アンケート機能が追加されたので、『ゴッホの「ひまわり」にトマトスープをかけるなどの「非暴力の直接行動」「市民的不服従運動」についてどう考えますか?』という質問に6つほど回答を用意してあります。回答してもらえるとうれしいです。
すべてをとりあげることはできませんでしたが、興味深い回答ばかりでした。ご協力ありがとうございました!
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「気候変動を日常会話に」を合い言葉に、通勤通学時、エクササイズや家事をしながら、お風呂などで構えずに「ながら聴き」をしてもらえるような、知識も意識も敷居も低い「3低ポッドキャスト」になっています。
ポッドキャストやブログへのコメント、感想、意見、質問、リクエスト、リスナーのみなさんと共有したいメッセージなど、なんでも気軽にお寄せください。気候変動についてみんなで日常会話をしましょう!
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04/12/2022 • 52 minutes, 57 secondes 気候ポッド 第52回 ~ 毎年数百万人の命を奪って利益を得る化石燃料産業とゴッホにトマトスープぶっかけ 、過激なのはどっち? 今回のエピソードは、ゴッホの「ひまわり」にトマトスープをぶっかけて注目を集めた市民的不服従運動について話しています。
まずはWikipediaから市民的不服従ってなんなのかを。
『市民的不服従(しみんてきふふくじゅう、英語: civil disobedience)は、良心にもとづき従うことができないと考えた特定の法律や命令に非暴力的手段で公然と違反する行為である。
市民的不服従は、よくある犯罪と異なり、法を破ることが正しいと確信して行われる。不正な法律(悪法)に従うよりも、良心に従って違反するほうを選ぶ。……誰もがわかるように公然と行い、追及する官憲から逃げず、逮捕を妨げようともしない。
市民的不服従の特徴の一つは、逃げも隠れもせず逮捕され、処罰されることにある。違反から利益を得ようとはせず、むしろ進んで不利益を受ける。このため、本当は利己的な動機からしたことで、主張は後から付けた言い訳だろうというような勘ぐり・非難は封じられる』
例としては、非暴力の抵抗を続けたガンジーや、公民権運動のマーティン・ルーサー・キング Jr.などが挙げられます。
活動家たちは、いきなり名画に体を接着させたり、スープや食べ物をかけたりしたわけじゃありません。他の方法を全部試しても政府はパリ協定を満たす気候変動対策を講じてくれない。気候変動や食料危機の影響で失われていく命や、苦しい生活を強いられている貧しい人々、気候変動で深刻化していく未来を憂えるあまり、いても立ってもいられなくなって市民にできる最後の手段ともいえる市民的不服従に出ているんです。やりたくてやっている人はいません。
そんな事情をどこまで理解しているのかわかりませんが、「名画を狙うなんて間違っている」「そんなやり方は逆効果だ」と、活動家を非難する声がほとんどだったような気がします。表面だけを見ると、たしかにそう感じるんですよね。
でも、何十億円もするような絵画は、資本主義や貧富の差を象徴しています。また、ゴッホの「ひまわり」を所蔵している英ナショナルギャラリーは、化石企業との関係を批判されてきた過去があります。
ポッドキャスト収録後に、活動家によってクリムトの「死と生」にオイルをかけられたオーストリアのレオポルド美術館もガス石油企業がスポンサーです。年間に数百万人もの命を奪って利益を得る産業がスポンサーをしている美術館の「死と生」に真っ黒なオイルをかける。メッセージはこれ以上ないくらいハッキリしていますよね。
本当に逆効果なのか?活動家の目的は、メディアの注目を集めること。人々をイラッとさせて関心を引くこと。多くの人たちが気候変動を深刻な問題として捉え、世界中で会話が始まることを願っています。めっちゃ効果的じゃないですか?世界が思うツボちゃんになっちゃってるじゃないですか。怒れば怒るほど、メディアが取りあげれば取りあげるほど、この活動は続くと思います。
ゴッホにトマトスープ後にイギリスで行われた世論調査では、66%の人が非暴力の直接行動を支持しました。専門家は、たとえ的外れに見えるようなものをターゲットにした直接行動でも、時間がたてば人々は根っこにある問題を見るようになると指摘します。また、非暴力の直接行動は人間が対象なので、「ゴッホにトマトスープは暴力」という批判はあたりません。もちろんエコテロリズムでもありません。
イギリスの約3分の2の人たちは、見えている部分に感情的に反応しつつも、活動家の「1.5℃のラインを守るために英政府は新規のガス・石油の調査・開発・生産を中止せよ」という主張は正当だと捉えているといえるでしょう。
言い換えると、Just Stop OilやExtinction Rebellion、Sunriseがやっている市民的不服従運動が、弱者のため、より良い社会、未来のための利他的な行動だという本質を見ているのだと思います。
気候変動が差別や格差の問題、貧しい人々にとっては命の問題、資本主義による搾取の問題、環境正義/気候正義問題だということを理解している人が多い社会には、市民的不服従運動を受け入れる土壌があるんでしょうね。
翻って日本はというと、差別や格差、貧困を自己責任と捉える人も多く、当事者も声をあげるのをためらう傾向にあります(弱者が声をあげるとおっさん病患者たちが全力でたたきまくるのでしょうがない)。なので、市民的不服従運動がなかなか受け入れてもらえないのもわかります。お上に逆らうのは御法度的な臣民気質がいまだに残っているのでしょう。
さらに、気候変動では、そもそも環境正義/気候正義のルーツに関心がない活動家が気候正義を振り回して、無批判に支持するサポーターが彼女ら/彼らを甘やかし、環境正義/気候正義を理解していないメディアが気候正義や活動家をコンテンツとして消費するという未成熟さがアクセル全開で暴走中。欧米の市民的不服従運動のような、利他的なムーブメントを生み育てる社会環境が整っていないと言わざるを得ません。
欧米から数十年遅れている日本の社会正義や環境正義/気候正義運動。焦るとろくなことにならないので、時間がかかっても「公正の視点」を身につけていくしかないんでしょう。
私からみなさんへの質問はこれ。
毎年大気汚染や気象災害によって数百万人の命を奪うことで利益をあげ、さらに温暖化を悪化させても責任をとらない化石燃料産業と、絵画にスープや食べ物をかけ、ガス石油タンカーの通過を妨げるために橋を封鎖し、その責任をとる活動家。どっちが過激なんでしょうね。
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18/11/2022 • 51 minutes, 16 secondes 気候ポッド 第51回 ~ YOUは何しにエジプトへ? COP27議長国の人権弾圧に沈黙する気候ムーブメントの危うさ 11月6日から、エジプトのシャルムエルシェイクで、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が開催されます。
そう、軍事独裁政権が市民を弾圧し、言論を封じ、活動家を投獄し続けているあのエジプトで、グリーンウォッシュと人権ウォッシュのショーが始まります。
COP27が、気候正義問題ど真ん中なんですね。
そんなこともあって、近年の気候ムーブメントを生んだグレタ・トゥーンベリさんは欠席を何度も表明。「最も影響を受けている地域の人々が参加するので、彼らの声が聞き届けられることが重要」と、今回のCOPで目玉になる「ロス&ダメージ(損失と損害)」の制度化を訴える開発途上国のMAPA(最も影響を受ける人々と地域)の声を邪魔しないために欠席することを示唆。実際、COP27に備えて、65カ国の開発途上国から約400人の青年活動家がチュニジアに集まり、大量排出国に「ロス&ダメージ(損失と損害)」を強く求める決意を固めています。そういう声を大量排出国側がかき消すのは環境正義に反するという思いがあるのでしょう。大量排出国側が善意の押しつけで代弁する必要もないですものね。途上国は声を持っているんですから。大量排出国の活動家は、COPとCOPの間の1年を利用して、自国で自国の政治にプレッシャーをかければいいと思います。COPの主役は、開発途上国の弱者です。
それ以外にも、グレタはエジプトの軍事独裁政権によって不当に投獄されている6万人ともいわれる活動家たちへの人権弾圧や自由な言論やデモが規制されていることも、欠席の理由に挙げています。
また、グレタさんは「数多くの人権侵害を犯している国の観光客の楽園なんて、私は行かない」とも発言しています。たしかに、シャルムエルシェイクはリゾート地で、貧富の差や差別という、気候変動の根本にある環境正義/気候正義問題を象徴するような場所ですよね。そこに世界中から集まった活動家たちが、気候正義を訴える。なんて皮肉な光景なのでしょうか。
日本でもおなじみのナオミ・クライン氏は、世界の気候ムーブメントに対して、現地に行く行かないに関係なく、エジプトで弾圧を受けている活動家への連帯を表明するように呼びかけています。ほぼ無視されていますが。
エジプト革命でリーダー的存在だった活動家、アラー・アブデル・ファタハ氏は、現在のシーシー政権がクーデターによって政権を強奪した2013年から、9年間のほとんどを獄中で過ごしてきました。彼は、200日以上ハンストを続けていて、COP27開催にあわせて、現在の1日100カロリーだけ栄養をとるハンストを、水だけに切り替えるそうです。そうすると、COPが終わるまで生きられないと言われています。
彼の家族は、気候正義を訴える気候ムーブメントに対して、エジプトの活動家がそうしてきたように、権力に向かって声をあげるよう求めています。
エジプトで起こっていること、それに対する反応などは、Twitterのモーメントにまとめてあります。チェックしてもらえば、流れがわかると思います。
でもね。だれが何を言ってるかなんて関係ない話なんです。エジプトは、世界の活動家を歓迎する一方で、自国の活動家をCOP期間中のデモを計画しただけで逮捕しています。ダブルスタンダードもいいところです。気候正義がないがしろにされている国で、そのことには触れないまま、気候正義を訴える気候ムーブメント。それが言い訳の余地なんてない、気候正義に反する行為だということは、環境正義/気候正義をちゃんと学びさえすれば、当たり前のように理解しているはずなんです。
正義。思いやり。人間愛。人間性。連帯。交差性。
環境正義/気候正義を達成するには、こういったことを言葉や行動で示す必要があります。
Speak up or shut up. You choose.
エジプトの活動家たちが見ています。
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05/11/2022 • 1 heure, 22 minutes, 41 secondes 今回のエピソードでは、科学って大事よねという話をしています。
新型コロナの感染状況や死亡者の情報は、ポッドキャストを収録した8月24日時点のものです。収録時は、日本の新型コロナ感染者数も死者数も世界トップでした。
NewsPicksの気候変動の科学に関するディベートは、だれでも冒頭の15分くらいを見ることができます。チェックしてみてください。
さて、今回の話を通して、別にみんな科学者になれと言っているわけでも、科学を勉強しろと言っているわけでもなく、ただ生きていくうえで科学的な考え方をしたほうがいいと思うんですよね。
だって、科学者になったとしても、その科学を扱う人間がろくでもなかったら、気候変動や新型コロナでコンセンサスのとれていない、政治的信条や世界観に基づく思い込みや願望を、事実のようにばらまくことになってしまいます。
こんなことを個人がやらなきゃいけないのはおかしいのですが、そこでもしも自分が科学的に考えられれば、だれかの言っていることに根拠があるのかないのか、その根拠が科学者間で合意形成されたものなのか、Yahoo!ニュースのコメント欄や、Twitterでタマゴやアニメやネコのアイコンの人が「人為的温暖化はコンセンサスがとれていない」と言っているのはデマだってことを冷静に調べて判断できるようになります。
悲しいことですが、今の社会は、命をお金に換えます。
「経済を回す」は、あなたの労働や苦痛、健康や命をお金に換算することを指します。
そして、弱者の命を「経済(お金持ち)」のために犠牲にします。
科学的であることで、自分の命はもちろん、社会的弱者の命を守ることができます。
搾取されたくなかったら、搾取したくなかったら、死にたくなかったら、殺したくなかったら、科学的でいきましょう!
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06/09/2022 • 24 minutes, 43 secondes 気候ポッド 第49回 ~ テキサス州ダラスに1000年に一度の豪雨と洪水 8月21日から22日にかけて、テキサス州ダラスに230㎜以上の雨が降りました。多い地域では、400㎜を超えました。1000年に一度の豪雨と言われています。その影響で、ダラスのあちこちで道路が冠水、河川や湖に近い地域で鉄砲水が発生するなど、洪水被害も出ました。
実にアメリカで発生した、5週間で5回目の1000年に一度の豪雨でした。ウォームアップが終わった気候変動が全力疾走をはじめた。そんな感じです。
飛ばしすぎでバテて倒れろ。
ダラスでどんなことが起こったかは、ぼくがギズモード・ジャパンに書いたリポートを読んでもらうのが早いと思います(めんどくさいわけではないぞ)。
洪水が起こった地域の一部は、低所得層が浸水したトレーラーハウスから避難することに。州は災害宣言を出しましたが、被害額があるレベルに達しないと連邦政府からの援助を受けられないため、先行きは不透明です。弱者の救済が真っ先に行なわれるべきなのに、いつも後回し。
記者会見でジャーナリストから気候変動の影響について尋ねられた、化石燃料産業から献金を受け取っている州知事は、気候変動という言葉を一度も使わずじまい。いったいだれを見て政治をやっているのやら。秋の知事選で落ちてしまえ。
1000年に一度と聞くと、「ひとごと」「遠い場所で起こっていること」だと感じるかもしれませんが、地球規模で考えたときに、ほんのちょっとずれていれば、ぼくの地域が住む場所を追われていたかもしれません。
1000年に一度の足音(雨音)が、ぼくには聞こえました。
地球規模の壮大なロシアンルーレット、当たるまで続けますか?
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03/09/2022 • 21 minutes, 43 secondes 気候ポッド 第48回 ~ ラブでロックな抗議をしよう 今回のテーマは、「抗議をしよう」です。
大きく言うと抗議ですけど、納得いかないことには納得いかないと声をあげていいんだよー、ということ。
今回のエピソードでは、フランスで農地や洗車、庭への水の使用は制限したのに、ゴルフ場が水を使用するのはオッケーとしたのに対して、活動家がゴルフのカップにセメントを流し込んで抗議をした話を取りあげています。
記録的な干ばつに見舞われて水不足なのに、アメリカのセレブはなーんも気にしないで芝生に水をあげまくっています。超過料金をとるらしいですが、数億円稼ぐセレブに「超過料金16万円です」と言っても、払う払うって言われておしまい。
最近の出来事だと、組合結成が相次いでいる米スターバックスで、店舗の組合員リーダーが不当解雇されたことに抗議して、従業員全員が職場放棄した件が話題になりました。
ロックですよね。
より良い職場にしよう、世の中を良くしよう、弱者の尊厳を回復しよう、より公平な世の中にしよう、気候変動ちゃんと止めようとしてみろやコラ。抗議をする、声をあげる理由はさまざまだと思いますが、そこに愛があれば、その抗議はロックだと思います。
ラブでロックな抗議をしましょう。
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28/08/2022 • 28 minutes, 50 secondes 気候ポッド 第47回 ~ ビタースイートなアメリカ史上最大の気候変動法案が成立 アメリカ史上最大の気候変動対策法が成立。
ポッドキャスト収録時はまだ上院を通過して下院に送られたばかりだったので、上院通過という内容になっていますが、バイデン大統領が署名をすませて法案はすでに成立しています。
聞いてもらえば一聞瞭然だと思うのですが、ケンのテンションが低め(ニコはいつもハイテンション。ほめています)。バイデン大統領の署名後でも、内容やテンションは変わらず、微妙なままだったと思います。歴史的、画期的、前例のない、史上最大。すべての表現が当てはまります。不適切とも思いません。でも、いつも通り、環境弱者が置き去りにされました。
いや、まったく完全に置き去りにされたわけじゃありません。ちゃんと環境正義にも予算は割り振られています(600億ドル=8兆2000億円)。でも、本来40%以上を環境正義に費やす(Justice 40と言われています)とされていたのにはまったく足りません。すべての部門で足りていないと言われれば、それはその通りです。
でも、ものすごいマイナスの場所にいる人たちをまずゼロに持っていくのが先でしょって話です。
わかるんですよ。気候変動対策が進めば、それだけで環境弱者の立場も回復していくって。空気も水もキレイになるし、緑も増えるし。でも、でも、社会として、恵まれている立場にいる者として、本当にそれでいいんですかって思うんです。
社会によって弱い立場に追い込まれている人たちの尊厳や健康、社会経済的地位の回復がメインではなく、他の対策がうまくいったときの副産物にしてしまうことに、どうしても納得できません。
ここで終わらせてはいけない。これをスタート地点にして、次の「史上最大の気候変動対策」を、10年後や20年後ではなく、数年以内に通さないと。
環境弱者の失望を希望に変えるために。
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22/08/2022 • 28 minutes, 59 secondes 気候ポッド 第46回 ~ リスナーさんと日常会話をしてみる ① ポッドキャスターふたりでずっと日常会話を続けているこの気候ポッド。以前にもチラホラとリスナーさんからのコメントを紹介したことはあるのですが、わたくしケンの不徳のいたすところで、リスナーさんとのやり取りというのがあんまりないんですね。
今回のエピソードでは、いただいたコメントをふたつ紹介しています。
リスナーさんからのコメントが、気候変動を日常会話にしていくためにはとても大事で、また、このポッドキャストをよりよいものに育てていく栄養になります。
過去エピソードへの感想でも、気候変動を感じることや、気候変動がどんな風に日常生活に影響しているか、これって気候変動関係あんのかな、おっさん病の人いた、などなど、みなさんからのコメントやメッセージをいつも大募集しています。
このブログ、ニコかケンのTwitterアカウントへ、コメントやメッセージをぜひぜひ送ってやってください。
日常会話をどんどん広げて、いまあるシステムを変えてやりましょう!
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18/08/2022 • 27 minutes, 54 secondes 気候ポッド 第45回 ~ ウィズコロナ時代到来?ロックな人。ロックじゃない人 なにがロックでなにがロックじゃないかは人それぞれだと思いますが、環境正義を学んだ者としては、というか、人として生まれてきたからには、どれだけ自分よりも弱い立場にいる人や動物、自然を思いやれるかだと思うんですね。行動ができるかどうかは自分の置かれている状況にもよりますが、行動しちゃいけないときに行動しないようにする(仕事を除く)のは、たぶんそんなに難しくない…はず…だと…お…も…う。
ボン・ジョヴィのボーカルを務めるスーパースター、ジョン・ボン・ジョヴィは、新型コロナの感染が広がったとき、ライブツアーを「延期」ではなく、「中止」したそうです。なんで中止だったのか。彼は、新型コロナで職を失ったり、収入が減ったりした人がきっと多いはずで、その人たちにとっては、ライブのチケット代も決して安くないはず。延期にすると返金できないけど、中止にすれば返金できる。そのお金を生活費に充ててほしい。ジョンはそう考えて中止を決めたそう。
ジョンはJBJ Soul Kitchenというレストランを3店舗やっています。メニューはあっても、料金は書かれていません。すべて寄付でまかなわれています。食事をする人は、推奨されている20ドルを寄付をすればOK。経済的に寄付できない場合は、皿洗いをしたり、ウェイターをしたり、ボランティアとして店を手伝ってくれればいいそう。時間を寄付するという形ですね。すてきだ。経済的に余裕のある人は、恵まれない人たちの寄付額を肩代わりするPai It Forwardというシステムもあります。すてきだ。本来、政府がやらなきゃいけないことなので手放しで喜ぶことはできませんが、弱者にとっては、地元(ニュージャージー州)出身のジョンが自分たちのことを気にかけてくれることで満たされるのは、空腹だけじゃないはずです。
これまでに15万食以上を提供。うち、食事の対価として金銭を寄付をした人が46%で、54%はボランティアとして時間を寄付しています。2018年の80,500食を提供した時点では、金銭の寄付が49%、時間の寄付(ボランティア)が51%だったことを考えると、新型コロナでお金を寄付できる人が減ったんでしょうね。新型コロナ感染が広がって通常営業ができなくなった時期にも、ジョンとスタッフは食事に困っている人たちのために店を週に5日オープン。で、ジョンは週に5日、皿洗いとして働き続けたとのこと。
ロックだ。
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14/08/2022 • 25 minutes, 29 secondes 気候ポッド 第44回 ~ おっさん病☆パート3。世界を壊すおっさん病についての知見を深めよう 2年ちょっと前、ポッドキャストをはじめたてホヤホヤで自己紹介のエピソードの次に2回連続で取りあげた(気候ポッド 第2回 ~ 『おっさん病』ってなんだ?前編|気候ポッド 第3回 ~ 『おっさん病』ってなんだ?後編:気候変動の原因は『おっさん病』)おっさん病。
気候ポッドという名で気候変動について話すのかと思いきや、おっさん病とかわけのわからん話を…と思うかもですが、気候変動をはじめ、現在の社会問題の原因はほぼほぼおっさん病で、新型コロナを超えるパンデミックなんです。
というわけで、説明無用、というか、説明できるような話をしていないので、いつも通りテキトーにながら聞きしてください。
ポッドキャストで話している斎藤幸平さんが出ているYouTubeの動画を貼っておきます。
で、身のまわりや自分の中に潜むおっさん病についてコメントをもらえるとうれしいです。
【成田悠輔の弟子vs斎藤幸平】白熱講義!「SDGsに騙されるな!」【みりちゃむ暴走】
【成田悠輔の弟子】斎藤幸平の「超簡単!脱資本主義論」【おっさん論】
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ポッドキャストやブログへの感想、コメント、意見、質問などをここへのコメントやメッセージ、NicoかKenのTwitterにもらえると涙を流して喜びます。気候変動や気候変動とつながっている社会問題がみなさんの日常生活にどんな影響を与えているかなどについてもらったコメントを、ポッドキャストでリスナーのみなさんと共有できればいいな、なんて思っています。
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11/08/2022 • 27 minutes, 25 secondes 気候ポッド 第43回 ~ 【後編】グリーンランドで解けた氷は結局7日で東京が26メートル沈む量に 今回は、前回(『気候ポッド 第42回 ~ 【前編】グリーンランドで東京が8.2メートル沈む量の氷が3日で解ける』)の続きです。
なんでかっちゅうと、前回分を収録したあとにまたグリーンランドでさらに氷が解けたから。しかもちょっと追加なんてもんじゃなくてですね、小ライスのあとで特盛りライスをおかわりするような感じだったんです。
前回のエピソードで、7月15日~17日の3日間に、1日あたり60億トンの合計180億トンの氷が解けた話をしましたが、その後7月20日から23日までの4日間で、最大400億トンがさらに解け、合計で580億トンの氷が解けちゃったと。追加で解けた分の水がすべて東京に注ぎ込んだと仮定すると、東京がさらに18メートル沈むことに。その前の3日分と合わせると26メートル超になりますね…。
今回のエピソードでは、グリーンランドの氷床が解ける影響についても話しています。
北極の温暖化は、他の地域の3倍で進んでいます。気温が上がって、表面の色が白くて太陽光を反射する氷床(海氷)が解けると、暗い表面(陸か海)が増えます。暗い表面は太陽エネルギーを吸収するため、海表面や地表の温度も上昇。それに伴って気温が上昇し、さらに氷が解けるという正のフィードバック(負のループ)が起こります。
また、北極の温暖化によって、ジェット気流は湾曲して南に伸び、スピードが落ちるため、高気圧と低気圧が同じ地域に長期間とどまりやすくなって、長引く熱波や集中豪雨による洪水や鉄砲水の原因となって、大きな被害を引き起こしています。ヨーロッパや、テキサスを中心とする米南西部の熱波、ミズーリ州やケンタッキー州、イリノイ州などの米中西部などで起こっている集中豪雨による鉄砲水や洪水など、最近だけでも例がいくつも思い浮かびます。
さらに、北極の温暖化によって米西部で山火事が起こりやすくなっていて、山火事で排出されたすすやブラウンカーボンが北極圏にたどり着いて(降って)氷や雪の表面に付着することによって、太陽エネルギーを吸収しやすくなってさらに氷や雪が解け温暖化が加速、それが原因で米西部で山火事が増える…という地獄のような負のループが起こっています。
もうひとつおまけに、グリーンランドの氷が短期間で大量に解けて淡水が周辺の海に流入すると、大西洋南北熱塩循環(AMOC: Atlantic Meridional Overturning Circulation)と呼ばれる、緯度が高いヨーロッパに熱を運んで温暖な気候を保っている暖流をスローダウンさせてしまいます。もしも万が一AMOCが止まってしまうようなことになれば、熱帯太平洋の気温は低下し、貿易風は強くなって南下するそうです。その結果、ラニーニャ発生時のような気候になって、南太平洋では壊滅的なモンスーンと洪水を引き起こし、北米の一部では干ばつと暑さが激しくなる可能性があります。今夏の気候みたいな感じですね。
ほんのわずかの海面上昇でも、影響は深刻です。台風やハリケーンの際には、高潮による洪水被害が海面上昇によってどんどん大きくなっていきます。もしも満月の満潮時に台風が接近、上陸するようなことになれば、洪水による被害は甚大になるでしょう。
また、海面上昇による海岸の浸食が進む地域では、人が住めなくなる可能性があります。アメリカでは、すでに先住民が移住をはじめています。南太平洋やインド洋の島しょ国は、将来的に沈む運命にあります。南太平洋の島しょ国の中には、近隣の海抜が高い島国に移住する土地を購入しているケースも見られます。
沿岸地域の農地では、海水が浸食ことによる塩害で食物がとれなくなる恐れがあります。
既存の原発や火力発電所、汚染施設への影響も考えられます。フランスでは、熱波による水温の上昇が原因で十分な冷却ができないため、原発の発電量を調整しています。
世界の都市の多くが沿岸に位置しており、ホームレスを含め多くの貧しい人が暮らしています。なかなか注目を浴びることはありませんが、沿岸地域で洪水が起こると、発生時だけでなく、避難後にも社会的弱者がもっとも大きな影響を受けることになります。
2050年までに海面が30センチ上昇すると言われている地域もあります。今は洪水が起こっても被害が出ない地域でも、数十年後には住居や人々が深刻な影響を受けやすくなっていきます。被害を少しでも小さく抑えるためには、温室効果ガスの排出量を最速で最大限削減していくしかありません。
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コメント、感想、意見、質問、リクエスト、リスナーのみなさんと共有したいメッセージなど、なんでも気軽にお寄せください。気候変動についてみんなで日常会話をしましょう!
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06/08/2022 • 27 minutes, 36 secondes 気候ポッド 第42回 ~ 【前編】グリーンランドで東京が8.2メートル沈む量の氷が3日で解ける 暑いのは、テキサスだけでも、ヨーロッパだけでも、東アジアだけでも、中央アジアだけでも、南アジアだけでも、中東だけでも、北アフリカだけでもありません。
グリーンランドでは、異常な暑さで氷が解けまくっています。
どれくらい解けているのかというと、7月15日~17日の3日間で、1日あたり60億トンの合計180億トン。
さっぱりイメージ湧かないですよね?CNNいわく、オリンピックサイズのプール720万杯分。
さっぱりイメージ湧かないですよね?Eartherいわく、ウェストバージニア州が30センチ浸水する程度だそうですよ。
さっぱりイメージ湧かないですよね?当社調べによると、東京が8.2メートル沈む量の氷が解けてしまいました。3階まで浸水します。
年平均で2500億トンの氷が解けているグリーンランドで、180億トンの氷がきれいさっぱり3日間で消えたと。待って。毎年東京が114メートル沈む量の氷がグリーンランドで解けてるのか。
とまあ、今回のポッドキャストはこんな話をしているのですが、これにはまだ続きがあるんです。心が18メートル沈む準備をして続報を待て!
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「気候変動を日常会話に」を合い言葉に、通勤通学時、エクササイズや家事をしながら、お風呂などで構えずに「ながら聴き」をしてもらえるような、知識も意識も敷居も低い「3低ポッドキャスト」になっています。
ポッドキャストやブログへの感想、コメント、意見、質問などをここへのコメントやメッセージ、NicoかKenのTwitterにもらえると涙を流して喜びます。気候変動や気候変動とつながっている社会問題がみなさんの日常生活にどんな影響を与えているかなどについてもらったコメントを、ポッドキャストでリスナーのみなさんと共有できればいいな、なんて思っています。
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30/07/2022 • 27 minutes, 5 secondes 気候ポッド 第41回 ~ ロックの定義: Love& Peace! 今回はニコの恥ずかしい話がメインです。
アクティビズムって、気候変動ムーブメントを支えるものって、うちらの動機ってなんだろうねって話をしています。
元々は、最近使うようになったイントロ曲を選んだ理由についてトークしようというのが発端でした。
このポッドキャストにふさわしくない結構真面目な話をしすぎたので丸ごとボツにしようかなとも思ったのですが、編集後の音源を確認したニコが「恥ずかしくて二度と聴けない」と言っていたので公開することにしました。
みなさんにとって、ロックってなんですか?
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27/07/2022 • 23 minutes, 30 secondes 気候ポッド 第40回 ~ 熱波 in ヨーロッ波! 公正の問題を伝えない不公正な報道 春にインドとパキスタンを襲った熱波。5月から4度目の熱波に見舞われている米南部。中国南部も最近熱波がニュースになりました。
そして、しばらく前からポルトガルやスペインで森林火災が起こり、死者が出るほどの暑さになって、ヨーロッパの熱波も取りあげられるように。
で、その熱波がイギリスにやってくる、しかも40℃超えるかもってなってから、ニュースサイクルが活発に。そして、ロンドンで過去最高の40℃超えを記録してドカーンと報道されました。
ところで、北アフリカや中東、中央アジアも熱波に見舞われているのを知っていますか?ニュースでやっているのを見聞きしましたか?報道は、地域を、人を、肌の色を、宗教を、社会経済的地位を選びます。公正な報道がされないと、人々はそこに公正の問題(環境正義問題)があるのを知ることもできません。
今回のテーマは、ヨーロッパの熱波。なのですが、こんな報道のされ方おかしいだろ、という話をしています。
熱波は場所を選ばずにやってきます。でも、これまでに社会が下してきた差別的な選択によって、熱波の影響は高齢者、子ども、屋外労働者、ホームレス、孤立している人、社会経済的地位の低い人、基礎疾患がある人、有色人種に偏っています。
エアコンが普及していない地域が多いヨーロッパ(イギリスは5%、ヨーロッパ全体で20%程度と言われています)では、命にかかわる問題で、すでに熱波による死者は1700人を超えると言われています。
誰に被害が偏っているのか、なぜ被害が偏ってしまうのか、誰に責任があるのか、どうすれば被害を減らしていくことができるのか。
こんなに熱波がくるようになったというのに、そこから何も学ぼうともせず、噴水で遊ぶ子どもや、プールやビーチで過ごす人々、冷たいものを食べる人々を映像や画像で流していては、次の熱波でもニュースになることなく社会的弱者が傷ついていきます。
人だけじゃありません。夜に気温が下がらない熱波は、気温が下がることで休息をとる動物や植物(野菜や果物)にも影響を与えます。そしてその影響を人間も受けることになります。
「暑いね」
「大変だね」
熱波をこんな言葉でやり過ごすのをやめないと、いつか自分に順番が回ってきたときに、軽く扱われることになります。
熱波は、気候変動は、人々を苦しませるだけの深刻すぎる問題です。
そこに軽い、楽しいストーリーの入り込む余地があってはいけないんです。
これまで気候変動の深刻さを伝えてこなかったメディアには、気候変動の影響を受けている気象災害が起こったときに、強欲な化石燃料産業や、化石燃料の使用で利益を得る企業、それを可能にしている政治の責任を追及してほしいものです。
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24/07/2022 • 29 minutes, 48 secondes 今回のネタは、寿司ネタです。
ややこしいな。今回のテーマは、寿司ネタです。
温暖化と高齢化でわさびがヤバいというロイターの英文記事 (その後日本語記事も出ました)を読んだところから、まずはわさびの話をしようかと思ったのですが、わさびといえば寿司、ということで(ロイターの記事ではそば屋さんが出てきていますがサクッと無視)、ちょっと調べてみると、寿司もヤバいということで、今回のネタは、寿司ネタになりましたとさ。
数年前から、ユーグレナと銀座久兵衛が海洋の生態系への地球温暖化の影響を知ってもらおうと『寿司が消える日』というコラボキャンペーンを行なっています。
取りあげられている魚介類は9種で、それぞれが消える日は以下のようになっています。
いかなご:2035年6月30日(土)
しゃこ:2041年11月30日(土)
さけ・いくら:2049年12月17日(金)
帆立(ほたて):2068年8月31日(金)
雲丹(うに):2073年8月31日(木)
鮑(あわび):2080年10月1日(火)
平目:2089年3月31日(木)
真鯛:2094年6月30日(水)
ずわいがに:2098年5月31日(土)
公式サイトにはなぜ消えてしまうのか、原因についても触れているので、ぜひチェックしてみてください。
シブがき隊の『スシ食いねェ!』に出てくる寿司ネタの半分近くが2100年までに食べられなくなるかもしれないんですね。
温暖化は食文化にも大きな影響を与えます。つい先日にはカツオにも影響が出ているというニュースをやっていました。カツオはだしにも使われているので、和食の味が変わっちゃうかもですよ。
食文化といっても、食べる側の人だけが影響を受けるわけじゃありませんよね。私たちは、他の食べ物で栄養をとる、おなかを満たすという選択ができますが、食べ物を提供する側、寿司だったらお寿司屋さんやその他の飲食業だけでなく、漁業関係者への影響はかなり大きいです。寿司が消える日は、生活そのものが壊されてしまう日でもあるのです。
強欲な化石燃料産業や、化石燃料の使用で利益を得る企業、それを可能にしている政治、そしてその責任を問おうとしないメディアによって、多くの人生が狂っていきます。
政府には、伝統でもなんでもない家父長制を必死で守ろうとしないで、伝統的な食文化とその影響を受ける人たちを死ぬ気で守ってほしいものです。
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「気候変動を日常会話に」を合い言葉に、通勤通学時、エクササイズや家事をしながら、お風呂などで構えずに「ながら聴き」をしてもらえるような、知識も意識も敷居も低い「3低ポッドキャスト」になっています。
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22/07/2022 • 20 minutes, 34 secondes 気候ポッド 第38回 ~ 風と太陽を味方につけろ。ガス石油王国テキサスの電力網を支える風力と太陽光 Climate Pod_Episode_038_Power of Renewables.mp3
今回のテーマは、再生可能エネルギーのポテンシャルです。
テキサスといえば、ガス・石油。化石燃料企業の本社がわんさとあるテキサスは、電力消費量も二酸化炭素排出量も全米トップ。Everything is bigger in Texasなのですよ(自慢にならん)。
でもね、そんなダーティーなイメージが強いテキサスは、風力と太陽光をあわせた再エネ発電量も全米トップなんです。風力発電はテキサスだけで米全体の約4分の1と、10年以上トップの座を堅持。テキサスを国として見ると、世界で5番目の風力発電容量を誇っています(アメリカは国として世界2位。EUをまとめるとアメリカは世界3位)。
ちなみに、2004年に8位だった日本は、追い抜かれまくって2021年現在で21位。うさぎだったのね(トップですらなかったけど)。
そんなテキサス州は、5月からずっと熱波が繰り返し襲ってきて、4度目の熱波が引かずに居座る熱波ならぬ熱海状態に。熱海は温泉の名所なのでちょうどいいやもう(やけくそ)。
毎日40℃前後まで上昇する気温に電力は逼迫(ひっぱく)して、テキサス州の電力網を管理する悪名高きERCOT(テキサス州電気信頼性評議会)が節電を呼びかけることもしばしば。そんな逼迫(ひっぱく)しているテキサスの電力を安定した供給量で支えているのは、太陽と風なんです。州政府もERCOTもそれを認めようとしません。なんなら、電力網が不安定なのは、暑くなると供給量が激減する風力のせいだと名指しで責任を押しつけようとします。
2021年のテキサス大寒波の時に、州知事が凍える州民をほったらかしでFoxニュースに出演して「大停電の主な原因は、寒さでタービンが凍って発電できない風力のせいだ」とうそをまき散らしたときと同じことが起こっています。大寒波で凍って発電できなかったのは火力と原子力で、風力は想定以上の発電量だったのを隠して献金してくれる電力会社をかばう知事のパフォーマンスでした。
で、前置きが長くなりましたが、ポッドキャストでニコが話しているスピリチュアルなグラフというのがこれ。Source: ERCOT
ちょっと見にくいですが、赤と青の実線と点線を見ると、太陽光(赤)が台形を伏せたように、風力(青)がおわんのような形になっています。日の出から日の入りまで発電する太陽光と、日が沈んでから日が昇るまでがメインの風力は、絶妙のバランスで発電を続けています。
熱波の最中のピーク時には、大気が不安定になるか海や大きな湖でもないと風が吹かないため、やり玉に挙げられやすい風力ですが、命に危険を感じるくらい照りつけてくる太陽がピーク時の発電を支えています。そして、多くの人が仕事を終えて帰宅し、エアコン全開になる夕方から夜にかけて、風力も加わって停電のピンチを回避しているんです。
そういえば、風力のせいだとERCOTがわざわざ声明を発表したその日、火力が12GW分強制停止になっていました。そう、電力逼迫(ひっぱく)の原因は、またしても火力だったんです。火力の数字が合わないことをメディアに確認されて、ERCOTが翌日になって「だいたい12GWくらい止まっていました」と回答。相変わらずです。
Source: ERCOT
不安定だなんだとイチャモンばかりつけられる風力ですが、テキサスで天然ガスに次ぐ2番目の電源にまで成長しました。昨年末時点で風力と太陽光を合わせると28%、今年6月末時点では、風力(30%)と太陽光(6%)で3分の1以上をまかなうところまできました。再エネが増えた分、天然ガスと石炭が減っています。ポッドキャストでは再エネ率が15~20%と話していますが、季節によって上下はあるものの実際は4分の1以上まで成長してきました。
専門家も、再エネを導入すれば電力供給も安定し、電気代も安くなっていくと指摘しています。
万能薬なのですよ、再エネは。再エネを増やせば電力網は安定するし、電気代も下がってお財布にやさしいし、二酸化炭素は排出しないし、公害物質も出ません。そして、黙っていても朝になれば太陽は出てくるし、地球が回れば風は吹きます(気温差や気圧差は必要ですが)。ガス・石油・石炭のように採掘から運搬、燃焼、廃棄にいたるすべての過程で環境正義問題を生み出さずにすみます(再エネにも原料調達やリサイクル、廃棄の問題はありますが、化石燃料を使い続ける理由にはなり得ません)。
産業革命から延々と続いてきた化石のような古い価値観を捨てて、もっと自然と調和しながら生きることを選ぶときがきたんです。
温暖化を深刻化させたり、命を奪ったりする化石燃料から早く脱却しないと。
太陽と風が敵に回ってしまう前に。
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20/07/2022 • 23 minutes, 59 secondes 気候ポッド 第37回 ~ お得な世の中ですよ!(お金持ちにはね) Climate Pod_Episode_037_金持ちの金持ちによる金持ちのためのニッポン.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/3O9cVf3〓 Spotify: https://spoti.fi/3o5AAm2
参院選真っ最中に収録した今回のポッドキャストの中で予言した通り、なんにも変わりませんでした。想定内過ぎて泣けてもきません。
これからも、お金持ちの、お金持ちによる、お金持ちのための政治が続いていくことになりました。いぇい〓
で、今回のテーマはというと、NHKの番組内で、「補助金を上手に使えば、改修費の4分の1の実費で二重窓にできて、節電になりますよ」みたいなことを言っていた情報に対する違和感から、「金持ちにだけお得な世の中ってどうなん?」という話をしています。
持ち家があって、改修費を出せる余裕のある人だけが受けられる恩恵を、まるで誰もが得をするかのように伝えるメディアって、格差社会をなんにもわかっていないか、わかったうえでやっているかのどちらかだと思うんですよね。
どっちにしても、メディア失格です。それにこれも「1.5℃の約束」に通じる話のはずなので、二重にメディア失格です。二重窓の話だけに。
補助や助成は、もっとも必要とする貧困層からボトムアップで行なわれるべきで、豊かな人をより豊かにするために行なうべきものじゃないはずです。社会的弱者が猛暑の中で電気代よりも命を優先できる制度をつくるのが、国民や都道府県民、市町村民を代表する人たちの仕事です。
それができないならやめちまえ。
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16/07/2022 • 21 minutes, 55 secondes 気候ポッド 第36回 ~ 大うそつきなの? むなしく響く『1.5℃の約束』 Climate Pod_Episode_036_1.5℃の約束.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/3NEoTwQ〓 Spotify: https://spoti.fi/3yeCsNY
7月10日の参院選投票日が迫る中、各政党や候補、メディアによる政府や化石燃料産業、化石燃料使用によって利益を得ている企業、それらの企業や化石燃料事業に投融資する金融機関の責任を追及し、気候変動対策を迫る報道が過熱……してないじゃん!どゆこと?
今回は、国連とSDGメディア・コンパクトに参加しているメディアがはじめた日本発の『1.5℃の約束 - いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。』という、いまのところ有言不実行のキャンペーンについて話しています。
実感として、気候変動に関する報道が増えたと思いますか?COP26を控えていた昨年の衆院選のときよりも、気候変動関連の報道は少なくないですか?
こんなに記録的な熱波に見舞われて、熱射病で亡くなる方のニュースが相次いでいるというのに、気候変動対策を熱く語る政党や候補者もいなければ、それを批判する報道もありません。
『1.5℃の約束』はどこにいったんですか?選挙が終わったらアリバイづくりのように政党や候補者を批判するんですか?
気候変動に関する報道がされたときに、最初に書いたことに注目してください。
政府や化石燃料産業、化石燃料使用によって利益を得ている企業、それらの企業や化石燃料事業に投融資する金融機関の責任に言及せず、個人の行動に責任を押しつけるために「ひとりひとりにできることがある」のようなメッセージを発信するメディアは、気候変動の原因を作る側です。気候変動を止める側ではありません。
「私たちひとりひとりにできることがあります」というメッセージが気候変動対策を遅らせる理由については、『「私たちひとりひとりにできることがあります」「個人のカーボンフットプリント」は化石燃料産業の思うツボ』をチェックしてみてください。
守るつもりもない『1.5℃の約束』を掲げてやってる感だけ出しているメディアに期待してやっぱりダメかと失望していてもなにもはじまりません。
でもね、わたしたちひとりひとりにできることはあるんです。
それは、わたしたちひとりひとりがメディアになること。SNSで、家庭で、職場で、学校で。いつでもどこでも、わたしたちが発信していけばいいんです。だって、わたしたちにはスポンサーなんていないんですから。
気候変動を日常会話に。
気候変動が選挙の争点になるまで、あきらめずに会話を広げていきましょう。
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02/07/2022 • 20 minutes, 47 secondes 気候ポッド 第35回 ~ 参院選2022: 生きるだけで精いっぱいなら、選挙に行こう! Climate Pod_Episode_035_Election 2022 01.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/3AgkI7M〓 Spotify: https://spoti.fi/3a1ECbF
7月10日に参議院選挙を迎えます。今回のテーマはその参議院選。
賃金は上がらない。物価は上がる。ガソリン代も上がる。電気代も上がる。生活、苦しいです。みなさんはどうですか?
「いまのままじゃやっていけない」
そう感じる方は、選挙に行きましょう。
変えたいなら、変えさせたいなら、比例区では野党に、選挙区ではいちばん当選しそうな野党候補か、定数ギリギリラインで与党候補と競っている野党候補に投票しましょう。
「どの政党に投票すればいいのか、誰に投票すればいいのかわからない」日々の生活で精いっぱいの方は、情報を集めて考える時間も体力も精神的余裕もありませんよね。
自分の大事にしていることを大事に考えている政党や候補者を見つけられる、知ることができるサイトのリンクをいくつか貼っておくので、参考にしてください。
投票日は仕事やどうしても外せない用事で行けそうにない方は、期日前投票もあるので、時間を見つけてできるだけ投票しましょう。投票に行くときは、家族や友人、知人、ご近所さんも連れ去りましょう。ひとりだと行かない人でも、誘われると行くかもしれません。選挙の日は、投票行って外食すればピースピースです。
☆ ボートマッチ・ 毎日新聞: https://vote.mainichi.jp/26san/・ 読売新聞: https://www.yomiuri.co.jp/election/votematch/・ 毎日新聞: https://www.asahi.com/senkyo/saninsen/2022/votematch/#/・ NHK: https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/sangiin/survey/votematch/・ Japan Choice: https://japanchoice.jp/vote-navi/
☆ 公約比較・ 〓時間がない人にもオススメ〓 みんなの未来を選ぶためのチェックリスト: https://choiceisyours2021.jp/・ 〓時間がある方にはオススメ〓 早稲田大学 マニフェスト研究会: https://maniken.jp/kurabete_erabu/・ NHK: https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/sangiin/pledge/このポッドキャスト&ブログの趣旨や目的、存在意義的な視点で捉えると、気候変動対策、特に環境正義/気候正義の問題に関してどの政党もどうにもならないレベルでなんにも考えていないとしか思えないのがとても×∞残念です。
こんな社会を変えたい、変えてやる、と思ったら、いや、変わる、自分には変える力があると信じて選挙に行きましょう。
ボスは、総理大臣でも議員でもありません。
ボスは、わたしたちです。
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30/06/2022 • 26 minutes, 25 secondes 気候ポッド 第34回 ~ 『クローゼットの中の怪物』を環境正義的に見ると… Climate Pod_Episode_034_The Monster in Our Closet Part 2.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/3A4hm7z〓 Spotify: https://spoti.fi/3QONvpv
前回(気候ポッド 第33回 ~ 『クローゼットの中の怪物』:そんなに服いらないっしょ)に続いて、パタゴニアがファッション産業と気候変動の関係を伝える『クローゼットの中の怪物』について話しています。
まだ動画を観ていない方は、ぜひチェックしてください。本当にいい動画です。The Monster In Our Closet|クローゼットの中の怪物
今回は、動画の中で言葉としてのメッセージにはなっていなかったけど、そこから読み取ることができる環境正義の問題を掘り下げてみました。
内容はだいたいこんな感じ
・ 使い捨てにしているのはプラスチック?わたしたち自身?・ 服の素材に使われるプラスチックの生産過程で、ガス・石油の掘削、精製工場、プラスチック製造工場の周辺では住民の健康被害が問題になっていて、被害者は、有色人種や低所得・貧困層に偏っている。・ ガス・石油産業がプラスチックに生き残りをかけるため、今後はCO2の排出源がエネルギーからプラスチックに置き換わっていく。同時に、火力発電所周辺の健康問題が、プラスチック製造工場周辺の健康問題に置き換わっていく。有色人種や低所得・貧困層に影響が偏るのは同じ。・ 代替プラスチックや、プラスチックに換わる素材が出てきても、誰かが傷ついたら意味がない。・ いまはプラスチックでできていないものがプラスチックに置き換わると、環境正義問題は残るどころか大きくなる。次のペットボトルみたいなのが出てくる(ジュースは昔ビン入りで売られていたし、ボトル水なんてそもそも存在しなかった。水筒を持っていた)。・ 昔は弁当箱がアルミ製だったという話をしていますが、アルミニウムはプラスチックと比較してリサイクルが簡単です。プラスチックをアルミに置き換えればいい。とりあえず。・ 「私たちひとりひとりにできることがあります」というメッセージを発信する場合、それは「お金持ちじゃない人にもできること」じゃないと逆効果になります。社会経済的にできることがない、限りなく少ない人は、機会があれば自分が大事にしている問題について「話すこと」にトライしてみてください。・ おかしいと思うことには、おかしいと言いいましょう(アメリカではよく"You see something, say something."と言われます)。・ ネットでもリアルでもどっちでもいいので、誰かとつながって、小さなコミュニティーをつくって話したり何かをしたりしてください。
「私たちひとりひとりにできる最も重要でもっとも大きいこと」は、「話すこと」です。
気候変動を、社会問題を、政治を日常会話にしましょう!ポッドキャストの感想や経験談、大事にしている問題や心配事など、なんでもいいので、このブログのコメント欄やメッセージ、TwitterへのコメントやDMで気軽にお寄せください。
そんなわけで、次回は7月10日に投開票を迎える参議院選挙の話です。
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26/06/2022 • 24 minutes, 6 secondes 気候ポッド 第33回 ~ 『クローゼットの中の怪物』|Part1: そんなに服いらないっしょ Climate Pod_Episode_033_The Monster in Our Closet Part 1.mp3〓Apple Pod: https://apple.co/3bdo6Wb〓 Spotify: https://spoti.fi/3OpF6qJ
今回は、ファッションの話です。以前にも、ファストファッションについて話をしたことがあります。まだ聴いていない方は、そっちもぜひチェックしてみてください。
ただファッションと気候変動の話をしてもかぶるだけですよね。このエピソードでは、ファッション産業で環境と気候変動問題の先頭を走るパタゴニアがYouTubeに投下した『クローゼットの中の怪物』について日常会話をしてみました。日本のパタゴニアの日本語字幕版もあるので、とりあえず観て(本当は「ええから見さらせ」と命令したいくらい、深く突き詰めると哲学的・環境正義的な内容です)。
The Monster In Our Closet|クローゼットの中の怪物
数字や事実関係はこんな感じ。青字は、触れられていない環境正義の部分・ 衣類の70%はプラスチックでできている。・ 世界には83億トンのプラスチックが存在。うち63トンがごみ。・ パタゴニアの製品あたりのCO2排出量を減らしても、販売が伸びて企業が成長するほど排出量が増えてしまうジレンマ(工場で石炭火力由来のエネルギーを使っていることは述べているが、大気汚染の話はなし)。・ 寄付された衣類のうち、再販されるのはわずか6%のみ。一部はすぐに捨てられて、残りはサブサハラ(アフリカ)へ送られ、そこで使い物にならなければ廃棄物処分場に行くか、焼却処分される。結局別の場所でCO2になって排出される。(大気汚染の話はなし。最近は南米にも寄付&リサイクルされた服が送られ、環境汚染が問題になっています)・ プラスチックはほぼほぼガス・石油由来。・ 消費者が望んでいないプラスチックをガス石油産業が燃料以外で生き残るために推進している。プラスチックは化石燃料の代替。・ 米でプラスチック製造工場が建設ラッシュ。(それらは有色人種や低所得層の多い地域を狙い撃ち)・ ファッション産業は、プラスチックを用いれば低コストで大量生産でき、ガス石油産業は今後も化石燃料で利益を得られる。Win-winの関係なので、積極的にこの関係を解消するはずがない。・ プラスチックによる排出量は増加。排出量がプラスチックに置き換えられる。(環境正義問題もプラスチックに置き換えられる)・ ついでに言えば、ガス・石油採掘による環境正義問題にも触れていない。フラッキングは大気汚染や騒音、パイプライン漏出事故など、さまざまな環境汚染を起こし、マイノリティがその被害を最も受けている。プラスチックが残る限り、この問題はなくならない。・ 誰もがパタゴニアを着れば解決するのか?NO。「縫製が良く、良い原料を使い、従業員に公平な賃金を払い、長持ちするものを購入すること」。世界はそうあるべき。いつか消費をやめなければいけない。ただ消費して環境への配慮をせず、それは他の誰かの問題のように振る舞うのは間違っている。
ざっとこんな感じ。他にも動画を観た人が自分が関心を持っていることや自分の生活とつなげて、何かを考えたり感じたり、考えるきっかけになればいいなと思います。
ファストファッションのエピソードで挙げたこともここに貼っておきます。
・ 2014年に消費者が購入した衣類は、2000年比で60%増、なのに、着る期間は半分に減少(たくさん買うのにあまり着ない)。・ 国連環境計画によると、毎秒トラック1台分の衣類が焼却または埋め立て処分に。・ 毎年製造される衣類全体の85%が埋め立て処分に。・ 衣類を洗濯することで毎年50万トン(ペットボトル500億本分)のマイクロファイバーが海に流入。・ ポリエステルは着てるだけで洗濯するよりも3倍のマイクロプラスチックを大気中にばらまいている(人間が歩くマイクロプラスチックばらまきマシーン化)。・ 人間活動による二酸化炭素排出量の10%をファッション産業が占める。で、業界がこのまま対策を怠ると、2050年までにその割合は26%まで増加する見込み(この部分は『クローゼットの中の怪物』で取りあげられていました)。・ 産業としては世界で2番目に大量の水を消費。コットンのTシャツ1枚作るのに2700リットルの水を消費。
あと、プラスチックについてもエピソード(気候ポッド 第22回 ~ プラスチックの責任は誰にあると思ってる? )があってですね。そこのプラスチックに関するファクトをここに貼るとクソ長くなるので、ぜひ聴いてみてください。
環境と気候変動への取り組みで他をぶっちぎっている感のあるパタゴニアでもここまでしかできないんですよね。一企業や個人が行動を変えるくらいでは、このシステムに張り巡らされている搾取のアリ地獄から抜け出すことはできません。
動画は最後まで、エンドロールの最後までしっかり観てください。大切なことがそこに凝縮されています。
25分過ぎに黒人女性の環境正義ジャーナリスト、ケンドラ・ピエール=ルイスの
「何ができるかをみつけて、自分の気が狂わない程度で影響を減らして、それから自分のライフスタイルを完璧にするための自分のエネルギーを、社会で集団的な方法に費やし、運動に参加することです」
というコメントは、環境正義/気候正義のために個人ができることとしてよく語られています。
パタゴニアを買えない、社会経済的に恵まれていないMAPA(最も影響を受ける人々と地域)の人たちにもできることじゃないと意味がありません。環境問題を、特にこのような環境正義問題は、恵まれている人だけが参加できる運動にしてはいけないんです。
ポッドキャスターふたりに刺さったのは、エンドロールの最後のほうでデザイナーが笑いながら話したこれ。
「古着を買おう。まだ使える服を買うんだ。必要がないのに買わないで。だってそんなに要らないでしょ」
ファッションの話だけじゃないですよね。気候変動だけの問題でもないと思います。「ほしいモノ」をたくさん買って消費するんじゃなくて、「必要なモノ」だけ買って、寿命がくるまで大切に扱う。
モノを使い捨てる社会は、人間も平気で使い捨てにします。そんな社会を、そろそろ終わりにしませんか?
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19/06/2022 • 20 minutes, 6 secondes 気候ポッド 第32回 ~ まだだ、パンデミックはまだ終わらんよ! Climate Pod_Episode_032_COVID Not Over.mp3
約5カ月ぶりの更新なのですが、まだ新型コロナの流行は終わっていません。
もう一度言います。パンデミックはまだ終わっていません。
医療関係者のぼくのルームメイトが言うには、感染者がまた増えてきているそうです。たしかに、データをみても緩やかにだけど新規感染者数は増加傾向にあります。ただ、重篤化と死亡リスクはデルタに比べてかなり低くなっています。
今回のポッドキャストで言いたい、問いかけたいことはたったひとつです。
「コロナ前の生活に戻っていいんですか?」
ということです。
コロナ前の経済優先、差別と格差に根差した弱者切り捨ての社会に戻れば、次のコロナでまた同じことが起こります。
いまは間違いなく、その方向に進んでいます。
本当にそれでいいんですか?
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11/06/2022 • 17 minutes, 2 secondes 気候ポッド 第31回 ~ 『ドント・ルック・アップ』は気候変動をめぐる社会環境を描いた最高の風刺映画 Climate Pod_Episode_031_Don't Look Up.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/3FuDwiq〓 Spotify: https://spoti.fi/3rnyjDR
みなさんは歴代最高の気候変動映画『ドント・ルック・アップ』をもう観ました?
天文学博士候補の学生がほぼ100%の確率で地球を直撃する彗星を見つけてしまったことから始まる政治やメディア、ソーシャルメディアなどの社会環境をおもしろおかしく描いているこの映画が風刺しているのは、気候変動をめぐる環境そのものです。
科学者が警鐘を鳴らしても政治は都合良く無視したり利用したりして、メディアは視聴率やクリック数がすべてで、話題性がないと判断したら、事態がどんなに深刻でも事実を伝えようとしなくなり、ソーシャルメディアでは迫り来る危機なんてそっちのけでイデオロギーに沿って陰謀論をばらまく人が出てくる始末。そして人類滅亡の危機を回避することよりも利益を追求し、テクノロジーでなんとか乗り切ろうとするIT大富豪。
こういった問題と気候変動がつながっていると言われてもピンとこない人が観ると、その辺がぼんやりと見えてくるかもしれません。
また、長い期間気候変動に関わってきた人にとっては、涙なしでは観ることができないコメディ映画で、あまりの既視感に怒りや悲しみ、切なさが入り乱れるジェットコースター映画だと思います。
映画の半ばで、天文学博士を演じるディカプリオがワイドショーでブチ切れる場面があって、そこで「いつもいつも賢そうだったり、魅力的だったり、好感を持ってもらえるように振る舞ったりする必要なんてないじゃないか。ときには、ただ言いたいことを伝えあったり、耳を傾けたりしなきゃいけないんだ」と話すのですが、監督のアダム・マッケイは、この映画で伝えたかったことはそこに詰まっていると話しています。
自分の言葉で、自分の考えや想いを伝える。そして相手の考えや想いに耳を、心を傾ける。今の分断した社会にもっとも必要で大切なものを、この映画は笑いの中に散りばめているんだと思います。
気候変動の影響を受けている多様なバックグラウンドを持つ人々の考えや想い、ストーリーを伝える。それは、今のメディアに欠けているものでもあります。
数字やデータ、科学的事実を賢そうに伝えても、人々の心には届きません。人々の心を動かすのは、それぞれの人が持っているストーリーです。いろんな人がいろんな色の言葉や表現を使って伝えるストーリーに触れることで、気候変動を止めるための集団的な行動につながっていくと思います。
このポッドキャストも、そんないろんな人のストーリーを伝えていきたいなって思っています。
映画の最後のシーンで、脚本にないのにその場でディカプリオが提案したというセリフが、今の世の中をよく表していました。
「僕たちは必要なものをすべて手にしていたんだって思わないか?」
Let's look up together.
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15/01/2022 • 47 minutes, 37 secondes 気候ポッド 第30回 ~ COP26を空っぽのコップで終わらせないために Climate Pod_Episode_030_EmptyCOP26.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/3kvL7FO〓 Spotify: https://spoti.fi/3kvTFfR
10月31日から、英スコットランドのグラスゴーで開催されているCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)では、予想通り、Blah, blah, blahな対策がいろいろと決まって、これまた予想通り日本ではまるで意味があることのように報道されています。
COP26には、各国代表団など、2万人とも4万人ともいわれる参加者が集まっているらしいのですが、人権団体のGlobal Witnessによると、COP26開始時に国連が公開した参加者リストに掲載されている約4万人のうち、503人が化石燃料産業のロビイストなんだそうです。約8分の1が化石燃料関係者というわけです。
化石燃料産業にいつ引導を渡すか、いつ化石燃料産業への金の流れを止めるかを決める国際会議に化石燃料産業のロビイストがいたら、脱化石燃料の流れが加速するわけないやん。
あれ?『英国で開かれている国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で、脱石炭を目指す動きが加速している。』とか報じている朝日新聞がいなかったっけか?
さらに、COP26に参加している化石燃料産業の代表の人数の方が、過去20年間の気候変動による被害が最も甚大だった8カ国の代表団の合計よりも多く、参加している化石燃料企業は100社以上もいるそうです。こんなんで、気候変動対策が前進するわけないやん。
ちょっと待って。『「脱化石燃料」へ、世界が一歩前進した。』とか言ってる毎日新聞がいなかったっけ?
日本のメディアの認識ヤバい。化石燃料産業のロビイストの情報を発信したのはCOP26の議長国、イギリスのBBC。レベルが違うというかなんというか。日本のメディアにも化石賞をあげないと。
化石賞を甲子園の常連校並みに連続受賞している日本は、化石燃料産業への補助金に2020年だけで18兆円もぶっ込んでいるのに、このままだとGDPの3.72%が気候変動のせいでぶっ飛ぶことになるんだそうです。ちなみに、2020年の日本の化石燃料への補助金は、GDP比で3.3%。GDPの3.3%を使って気候変動を進行させ、GDPの3.72%の損害を出そうとしている国、ジャパン。正気を失っています。
気候変動と裏表の関係にある大気汚染に関する国立環境研究所の研究結果によると、G20諸国のうち、アメリカをはじめとする国際貿易が盛んな11カ国における物品の消費が、世界のPM2.5による早期死亡ケースの50%以上を引き起こしたそうです。どういうことかというと、商品を手にする最終消費地が、公害による早死にや健康被害を開発途上国に押しつけていることになります。利益のために、自国の消費者を加害者にして、開発途上国の人々を傷つけている企業の責任を問わなければいけません。
この構図は、大気汚染を二酸化炭素に置き換えることができます。先進国で消費される食べ物や商品の原材料生産から加工、流通で排出される二酸化炭素は、排出された国でカウントされます。ユニクロなどファストファッションの洋服や、携帯電話のような電子機器の排出量も、最終消費地ではなく、生産や製造、加工をした国でカウントされるということになります。
つまり、アメリカやEU諸国、日本のような国々は、製品の最終消費地で排出量を計上した場合、もっと排出量が増えるということです。そして、そうあるべきです。
そのためには、まず二酸化炭素排出によって気候変動を引き起こしている責任を国ではなく企業に負わせるシステムをつくらなければいけません。企業は利益を得ているのに、開発途上国への賠償に税金があてられるのはおかしいでしょ。詐欺とか泥棒のレベルです。
また、COP26の「世界リーダー会議」でスピーチを行なったブラジルアマゾンの先住民であるチャイ・スルイさんが、スピーチの際に「白人男性ばかりが目の前で聞いていた」と振り返っていましたが、COPは以前からずっと「おっさん多すぎ。女性少なすぎ」と批判されてきました。
これもおかしいんです。気候変動の影響を偏って受けている女性に参加してもらわないと、偏った被害を効果的になくしていくための対策を決めることはできません。問題をつくってきた男性が、問題解決をリードするとか、まともな考え方ができる集団ならおかしいから変えようとなるはずなんですよね。でも、化石燃料産業のロビイストを500人以上受け入れるような組織だから、おかしなことが横行しています。
国際的な気候変動会議の女性参加者の割合がひどく低いという話に戻します。
2009年と2019年のUNFCCC(国連気候変動枠組み条約)各国代表を比較すると、2009年は女性の割合が32%で、2019年は39%と、この時代に10年たっても7%しか増えておらず、平等には程遠い状況です。代表団のトップの地位の女性の割合になるともっとひどくて、2009年の10%(193か国中19名)に対して、2019年は21%(196か国中41名)。2倍超増えても、まだ21%。決定権のあるポジションは男性が占めていることになります。こんな特権階級が高いポジションにはびこっている状態で、社会的弱者への不公正をなくすための政策が進むわけがありません。COPだけに注目すると、日本の代表団における女性の割合は、2009年のCOP15が14%(世界平均は27%)、パリ協定が合意に至った2015年のCOP21では16%(平均は29%)、2019年のCOP25では25%(平均は37%)と、ただでも低い世界平均に輪をかけて女性を軽く扱うひどさでした。もうちょっと深く分析すると、COP以外の気候変動関連会議よりも、COPになると女性の割合が減るんですよね。下準備はより女性に、本番は男性がって感じでしょうか。気持ち悪いったら。
こんなおかしな状況を変えるには、女性を含めてこれまで気候変動対策を決める過程に参加させてもらえなかった、最も気候変動に対して脆弱(ぜいじゃく)な人たちが代表団や対策を決める過程に参加できるようにシステムをつくりかえるしかないと思います。
COPのような国際会議だけじゃなく、各国の国会や地方議会、関係省庁や自治体の関係部署にも同じことが言えます。先日選挙を終えた日本の衆議院は、当選した女性の割合が9.7%でした。10%にも満たないんです。女性への不公正をなくすための気候変動対策が進むような状態ではありません。ここから変えていかないと。
研究結果によると、ジェンダー平等が進んでいる国ほど気候変動対策も進んでいて、気候変動に強い社会基盤を持っているそうです。
予想よりも早く深刻化する気候変動を止めるには、社会も超速で変わっていく必要があります。そのためには、変化を求める人々も、変わっていくシステム側も、白人男性ばかりとか年配男性だけみたいな閉塞的で排外的な状況を脱して、弱者が参加するインクルーシブでインターセクショナルに変わっていく必要があります。
これ以上、空
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11/11/2021 • 33 minutes, 12 secondes 気候ポッド 第29回 ~ From the ground up|草の根はここからだ Climate Pod_Episode_029_From the ground up.mp3
衆議院選挙が終わって、日本がまた終わりに近づいたその日にCOP26(第26回気候変動枠組み条約締約国会議)が始まり、伴わない結果を前向きに伝えるメディアと環境保護団体を見てさらに終わりに近づいていく今日この頃、みなさまにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
思い返すと、2016年の米大統領選挙。まさか負けると思わなかったヒラリーがトランプに惨敗したあの日。そして、トランプ就任後から止めどなく続いた差別と偏見と憎悪にさらされた人たちが中心になって、4年かけてさまざまな社会問題で草の根運動を育てていきました。
そして4年後、たぶん初めてリベラルが一致団結して、2020年の大統領選でバイデンを当選させました。
気候変動問題に関心を持っている方は、衆院選の結果にガックリと肩を落としていると思います。だって自公政権では、気候変動対策が進むことはありませんから。
たった一度の選挙で変わるほど、日本の社会に民主主義は根付いていません。でも、たった一度の結果であきらめる必要はありません。
国政でも自治体でも、また次の選挙はめぐってきます。
社会が低迷しているこんな時こそ、草の根を育てるチャンスです。次の選挙でひとりでも多くの人が政治に参加できるように、政治を日常会話にしていきましょう。
そして、次の選挙こそ気候変動を選挙の争点に。
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05/11/2021 • 57 minutes, 6 secondes 気候ポッド 第28回 ~ 大気汚染の話をしよう|番外編|ウンコはウンコ Climate Pod_Episode_028_Net Zero Special Edition.mp3
前回と前々回に続いて、今回も大気汚染と気候変動を絡めて話しているのですが、できるだけ問題をシンプルに伝えたいというわけで、化石燃料をウンコ、二酸化炭素をにおいに例えて日常会話をしています(日常会話にウンコはつきものですよね)。
ウンコに例えない場合の内容については、前回と前々回のエピソードの記事を読んでもらえればと思います。
最も二酸化炭素を出す石炭は、最も臭いウンコ。天然ガスと石油は石炭よりも排出量が少ないので、においがマシなウンコ。
でも、「ウンコはウンコやろが!」という話です。
リピート・アフター・ミー。「ウンコはウンコ!」
「においがキツいウンコを先に廃止にしてください」「ウンコを26%じゃなくて62%削減してください」
などというお願いを、気候正義を掲げる者は絶対にしちゃいけません。環境正義/気候正義を訴える者が、不公正を段階的になくしてほしいと要求してはいけません。差別や理不尽を押しつける権力者や企業に対して、踏みつけている足にかけている体重を少しずつ軽くしてほしいと訴えてはいけません。
環境正義/気候正義を求める者は、「脱石炭」を訴えてはいけません。化石燃料によって傷つけられている世界中の社会的弱者を代弁するのなら、考えなくても「脱化石燃料」を訴えるはずです。
だって、ウンコはウンコですから。
【あわせて読んでほしい記事】◆ 気候ポッド 第27回 ~ 大気汚染の話をしよう|後編|脱石炭じゃなく脱化石燃料へ◆ 気候ポッド 第26回 ~ 大気汚染の話をしよう|前編|大気汚染と気候変動は表裏一体って知ってる?
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31/10/2021 • 42 minutes, 9 secondes 気候ポッド 第27回 ~ 大気汚染の話をしよう|後編|「脱石炭」じゃなく「脱化石燃料」へ Climate Pod_Episode_027_Air Pollution_02.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/3znxKxk〓 Spotify: https://spoti.fi/3iwUO6D
今回のエピソードでも、前回に引き続き大気汚染について日常会話しています。以下に主な会話の流れを挙げておきます。
2:30~ 大気汚染の主な原因になっている化石燃料について化石燃料の由来から産業革命、大気汚染による年間700~800万人もの死者(早死に)に至るまで、化石燃料のあれこれについて軽く触れています。
6:10~ 大気汚染の環境正義問題公害物質を発生させる大気汚染施設が人種的マイノリティや貧困層、低所得層の多い地域に偏って建設されている不公正、いわゆる環境正義問題について。
8:40~ 「脱石炭」じゃなくて「脱化石燃料」を・ 化石燃料による不公正をなくすためには「脱化石燃料」が必要なのに、なぜ日本では「脱石炭」になってしまっているのか。・ 石炭と比較して二酸化炭素排出量が少ない(石炭の約半分~60%)という理由だけで、環境正義問題を一切無視したまま天然ガスを石炭から再エネへの「ブリッジ」として扱っているためではないか。・ 化石燃料から排出されるのはCO2だけではないのだけど、大気汚染が深刻な公害問題として認識されていない&環境正義を掲げる環境団体ですら環境正義の概念を理解していない日本では、CO2以外の公害物質を問題視しない傾向にあるのではないか。・ 日本では「脱石炭」というキャッチフレーズが盛んだけど(政府や自治体、企業、メディア、環境団体や活動家までも含め)、アメリカでは「脱天然ガス(脱フラッキング)」も叫ばれて久しい(先の民主党の大統領予備選では環境団体や他候補がバイデンにフラッキング禁止を明言するよう迫った。バイデンは今もフラッキングには反対していない)し、「脱石炭」ではなく「脱化石燃料」という声が圧倒的。「脱化石燃料」の理由のひとつは、あたりまえだけど、マイノリティに偏っている不公正(環境正義問題)をなくすため。日本の流れだけが不自然。・日本で化石燃料の環境正義問題が認識されない理由のひとつとして、燃焼時以外、つまり採掘から精製に至る過程の環境汚染や健康被害をまったく経験することがないため、発電時の問題しか見えていないからではないか。フラッキングの不公正を直接経験すれば、「二酸化炭素排出量が少ないから当面は石炭の代わりに天然ガスで」なんていう環境正義の概念に反する考えは浮かばないはず。・ 化石燃料を輸入することで、環境正義問題(環境破壊や健康被害)を他国の環境弱者コミュニティに輸出しているという認識がまったくない。・ アメリカでは、二酸化炭素は「公害物質(大気汚染物質)」に指定されているため、環境保護庁による規制が必要。日本では?・ 化石燃料の環境正義問題(生態系や環境、人の命や健康)を重視しない限り、「温暖化の原因になっている二酸化炭素さえ排出しなければいいんでしょ?」になってしまうし、実際にそうなっているようにしか見えない。・ 「脱石炭」では石油と天然ガスの寿命を延ばすことになり、採掘から精製に至るまでの不公正も、燃焼時の公害もなくならない。・ 石油と天然ガスがプラスチックの原料って知ってますか?プラの99%は石油ガス由来ですよ。海洋プラごみをなくして海の生き物を守らなくていいんですか?脱石炭では脱プラは達成できません。・ 日本では誰も脱化石燃料を目指していないひどい状況の中で、環境団体が政府を相手に削減量目標をもっと高く設定しろと要求するのは、犯罪組織に対して「もうちょっと犯罪を減らしてもらえませんか?」とか大量殺りく者に対して「もうちょっと殺す数を減らしてもらえませんか?」と交渉するのと同じ。発するべきメッセージは「気候変動と環境正義問題の温床になっている化石燃料の採掘と燃焼を今すぐやめろ」です。・ 「脱炭素」は「脱化石燃料」を遅らせるためのいんちきなマジックワード。「××の脱炭素化」では、二酸化炭素排出量も不公正もゼロになりません。脱化石燃料を果たせば、脱炭素は勝手についてきます。・ 環境正義に交渉はありません。発するメッセージは「不公正を今すぐやめろ」だけ。環境正義運動は、先人たちがそうやって命がけでつないできたもの。チャラチャラふわふわゆるゆるとやっていいものではありません。・ 環境団体も環境正義/気候正義を掲げる者も、日本の気候運動を報道するメディアも、環境正義をルーツから学んだ方がいいと思われます。なにも知らないままでは間違ったメッセージを発信することになります。そうなると、環境正義運動が草の根運動として根付くことはありません。実際にその通りになってしまっています。その自覚はまったくなさそうなのがまた絶望的。・ 化石燃料産業の労働者が仕事を失うという批判には、再エネの職業訓練を経て再エネ産業での再就職を(バイデン政権の気候変動政策やグリーンニューディールにはそれが持ち込まれている)。・ CO2回収&貯留みたいな今はまだない技術の開発を待たなくても、今ある再エネへの迅速な移行で脱炭素を進めることは可能。やるかやらないか。やらせるかやらせないか。・ 再エネを導入することで、小さなコミュニティで安定したエネ供給が可能に。・ しつこいようですが、環境正義運動は、草の根運動です。草の根運動は、社会問題をなくすための運動をボトムアップで育てるということ。なぜなら、環境弱者を取り残さないためには、コミュニティに根差した、コミュニティを熟知した人たちが必要だから。トップダウン側(政府)と交渉していては、多くの弱者が取り残されてしまいます。・ 政府を相手にいい加減な絵空事の目標なんかを求めるのではなく、各地のコミュニティで具体的な行動を求めることが大事。環境正義/気候正義問題をなくすための変化は、草の根から。・ 気候変動の原因は、今ある強欲な資本主義。資本主義ベース(政府や企業主導)の解決策に振り回されずに、不公正のない公平な世の中に最速で向かうために、環境弱者が連帯してボトムアップの運動を。・ 「(今までどおりの生活を維持するための)化石的な思考」からの脱却を。
大気汚染の話をすると、その主な原因になっている化石燃料にまつわる環境正義問題から気候変動、さらにその原因になっている資本主義まで、深く強くつながっていて、ちょっとやそっとじゃどうにもならないなってことを思い知らされたりもするのですが、それって根っこを断てば手品のように全部なくしてしまうことができるってことでもあるんですよね。
「脱石炭」「脱炭素」「実質ゼロ」「カーボンニュートラル」「なんちゃらかんちゃらの脱炭素化」みたいな詐欺に引っかかったり、化石燃料を利用した利潤追求や、今あるシステムの延命行為に付き合ったりすることなく、まっすぐ脇目も振らずに「脱化石燃料」「脱環境正義問題(脱環境差別)」に向かって進んでいきましょう。
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08/06/2021 • 44 minutes, 30 secondes 気候ポッド 第26回 ~ 大気汚染の話をしよう|前編|大気汚染と気候変動は表裏一体って知ってる? Climate Pod_Episode_026_Air Pollution_01.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/34BA19J〓 Spotify: https://spoti.fi/2TE8gvj
気候変動、脱炭素、脱石炭、ネットゼロ(実質ゼロ)という言葉をよく見聞きしますが、なぜか脱化石燃料や、気候変動とセットのはずの大気汚染という言葉って、あまり見聞きしなくないですか?
1年に数回、WHO(世界保健機関)などが「大気汚染による死者は800万人」のような報告を発表したことがニュースになっても、大騒ぎになることもなく、一時的な話題として消化されて終わっているように感じます。
今回と次回のエピソードでは、とんでもなく人が死んでいるわりにガン無視されている大気汚染について話しています。
大気汚染ってなに?
・大気汚染物質の排出源:工場、自動車、発電所、農業など・大気汚染物質の種類:ばい煙(硫黄酸化物、ばいじんなど)、粉じん、自動車排出ガス、揮発性有機化合物(VOC)など・直径が2.5㎛以下の物質をPM2.5、10㎛以下のものをPM10と呼びます
大気汚染による被害
・ 大気汚染は肥満、食事、喫煙に次いで4番めに死亡リスクが高い・ 毎年約800万人が早死に(全死者数の15%)・ 世界人口の9割が汚染された大気を呼吸している・ 日本の15都市中、14都市でWHOの基準値を超える汚染・ 日本でも1日約150人、1年で4~6万人が早死に
大気汚染と気候変動
化石燃料や火力発電所といえば、煙突からモクモクと立ち上る煙が頭に浮かぶと思うのですが、なぜか日本ではメディアも環境団体も活動家も、目に見えない二酸化炭素しか思い浮かばないようです。気候変動の公正の問題を解決したいと訴える立場にいるのならなおのこと、大気汚染や水質汚染などによる有色人種や低所得層(グローバルサウス)への偏った健康被害が真っ先に浮かぶはずなんですよね。
ましてや、日本のエネルギー自給率は9.6%、化石燃料への依存度は87.4%(2017年度)です。化石燃料は100%近く海外からの輸入に依存しています(原油99.7%/液化天然ガス97.5%/石炭99.3%)。
化石燃料から公害物質が発生するのは、燃焼時だけではありません。採掘や製油、輸送の過程で起こる大気汚染物質の排出や水質汚染によって、健康被害が発生します。つまり、化石燃料を輸入することで、日本はそれらの問題を輸入元の国々の弱者に「輸出」しているといえます。
気候変動と大気汚染はコインの表と裏の関係で、どちらか一方を解決すればいい問題ではないことは明白というか、両方いっぺんに解決すべき問題なんです。しかも、両方を平行して解決できるんです。「脱石炭」ではなく、「脱化石燃料」を目指せば、ですけど。
あ、日本は官民・環境活動家総出演で「脱石炭」の大合唱で、脱化石燃料にも脱環境正義問題にも興味がないんでしたっけ。
なので、「石炭」や「二酸化炭素」に限定した「脱・削減」という言葉のマジックには、くれぐれも注意しましょう。じゃないと、孫の代まで汚い空気を吸わされることになります。
大気汚染と新型コロナ
大気汚染にさらされた人は、新型コロナウイルスに対して脆弱(ぜいじゃく)と研究結果でいわれています。大都市部での感染者の多さと、大気汚染が無関係とは言い切れません。新型コロナ対策として都市封鎖(ロックダウン)を行なえば、新型コロナによる死者だけでなく、大気汚染によって早死にする人も減らせるようですよ。日本やアメリカは、残念なことに経済を優先することによって人々の命や健康をリスクにさらすろくでもない例になっています。
年間に800万人の死者を出している大気汚染は、もう大量虐殺と呼んでもいいようなひどさなのですが、新型コロナみたいに連日のように報道されることはありません。
気候変動と表裏一体の問題として、大気汚染も日常会話にしたいものです。だって私たちが毎日吸う空気の問題なんですから。
次回のエピソードでは、さらに大気汚染の問題を掘り下げていきます。
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02/06/2021 • 25 minutes, 16 secondes 気候ポッド 第25回 ~ フェアトレードって本当にフェアなん?|後編|もっとフェアにするにはどうすれば ? Climate Pod_Episode_025_Fair Trade_02.mp3
さて、前回に引き続き、今回もテーマは「フェアトレードってほんまにフェアなん?」です。
前編はこちらから:
気候ポッド 第24回 ~ フェアトレードって本当にフェアなん?〓 Apple Pod: https://apple.co/3uRp67w〓 Spotify: https://spoti.fi/2S1E0tu
市場経済至上主義のいまあるシステムの中で、「100%フェア」はまずあり得ません。いまのように製品を安価で提供しないと誰も買えない(富裕層以外は総貧困時代のいまは特に)場合、企業はサプライチェーン(商品の「原料調達」に始まり「製造」「在庫管理」「物流」「販売」等を通じて消費者の手元に届くまでの一連の流れ)のどこかで搾取をしないと、利益を出せなくなります。
じゃあ、いったいどうすれば、「よりアンフェアじゃないトレード」にしていけるのでしょうか?
規制を強化して生活水準を上げる
まずひとつめ。環境や人権、アニマルライツなど、サプライチェーンに存在する不公正をなくすために規制を強化すればいいんです。
民間の環境NGOや人権NGOにできることには限界があります。国がサプライチェーンにまで厳しく規制をかければ、一部だけじゃなく、すべての製品がよりアンフェアじゃなくなっていきます。
ふたつめ。生活水準を上げる。
規制を厳しくすると、開発途上国の生産者を筆頭に、サプライチェーンの健全化に費用もかかります。あたりまえですよね。生活賃金を払って、環境に配慮して(この言い方嫌いだけどしょうがない)ってなれば、経費もかさみます。すると、製品の価格も上がります。いまは買えている人が買えなくなります。じゃあどうするのか。全体として生活水準を上げればいいんです。
いまは総貧困・低所得時代です。サプライチェーンの末端から消費者まで、すべての人が生活賃金を得られれば、よりアンフェアじゃない製品を選べるようになります。
もっともっと進んで考えると、ユニバーサル・ベーシックインカムを導入すれば、不公正を一気に減らせます。
サプライチェーンの情報公開を義務化
フェアトレード商品といっても、アンフェアじゃなさ加減には違いがあります。商品棚にいくつものフェアトレード品が並んでいるときに、「よりアンフェアじゃないのはどれ?」って思ったことはありませんか?
フェアトレードラベルが普及している間(本当はすべての商品がフェアトレードされるべきなので、フェアトレードラベルが存在していること自体がおかしい)は、QRコードやアプリなどで、商品のサプライチェーンの情報をチェックできるようなシステムがあれば、よりアンフェアじゃない生産者がより恩恵を受けられるようになると思います。
遠くない将来に、すべての製品で同じことができるようになれば、アンフェアな企業を淘汰できます。そうなれば、「どれがよりアンフェアじゃないの?」って消費者が売り場で頭を悩ませる必要もなくなります。
気候変動時代のフェアトレード
気候変動が進めば、原料によっては収穫高が減ったり、生産可能地域が移動したりして、生産者と労働者が安定した生活ができる賃金を得にくくなっていきます。
コーヒー、チョコレート、ワインなどは、気候変動の影響をもろに受けて将来的に生産量が激減するといわれています。生産高が乱高下したり、生産できなくなってしまったときに、生産者と労働者が生活できなくなるのは、それこそアンフェアです。消費だけして、そこにある不公正には目をつぶっていてもいいんでしょうか?
ある製品のサプライチェーンをフェアにするために必要なのは、社会そのものをフェアにすることなのでしょうね。
最後に提案。「アンフェアラベル(アンフェア認定アプリ)」をつくって貼った(周知徹底した)方が企業は必死になるんじゃない?
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気候ポッド 第24回 ~ フェアトレードって本当にフェアなん?|前編 Climate Pod_Episode_024_Fair Trade_01.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/3uRp67w〓 Spotify: https://spoti.fi/2S1E0tu
今回&次回のテーマは、チョコレートやコーヒーなどのお高い商品で見かける「フェアトレード」。訳すと「公平・公正な貿易」。言葉どおりに受け止めると、サプライチェーン(商品の「原料調達」に始まり「製造」「在庫管理」「物流」「販売」等を通じて消費者の手元に届くまでの一連の流れ)に搾取や不公正が存在しない商品というイメージです。だって「フェア」って言ってるし。貿易ということは、今のシステムのあり方からするに、開発途上国の労働者からの搾取がないという意味なんだろうなって。
フェアトレードってなんなん?
で、フェアトレードってなんなん?と思って調べてみると、簡単なようでなんだかわかりにくい制度という印象です。
フェアトレード・ジャパンによると、フェアトレードは、「公正な貿易の実現によって、世界から貧困がなくなり、生産者が持続可能な生活を実現し、自ら未来を切り開いていける世界」というビジョンを持ち、「途上国の生産者が貧困に打ち勝ち、自らの力で生活を改善していけるよう、フェアトレード・ラベル運動を通して、 企業・市民・行政の意識を改革し、フェアトレードの理念を広め、より公正な貿易構造を根付かせること」を使命としているそうです。
フェアトレード・ジャパンのYouTubeチャンネルに、わかりやすい動画があります
フェアトレードの対象になっている産品(国際フェアトレード認証対象産品)には、コーヒー、生鮮果物、カカオ、スパイス・ハーブ、蜂蜜、ナッツ、オイルシード・油性果実、加工果物・野菜、サトウキビ糖、茶、野菜、穀類の食品と、繊維、花、スポーツボール、金があり、生産者やトレーダーはフェアトレード基準(生産的・社会的・環境的基準)を守って生産・売買を行わなければ、認証ラベル(最終製品に国際フェアトレード認証ラベル)を貼ることはできません。
個別の産品レベルではなく、すべての産品がフェアとトレード基準を満たす事業主や団体は、World Fair Trade Organization(WFTO)の認証を受けることができます(認証ラベルは別途申請が必要だそう)。
んで、これがいろいろややこしくさせていると思うのだけど、企業が独自の基準で自画自賛フェアトレードだと主張しているケースが少なくないようです。スターバックスやカーギルなどがその代表的な例です。正直、オリジナルのフェアトレード認証と比較してフェアなのかどうかさっぱりわかりません(たぶんフェアじゃない)。
で、フェアトレードってホントにフェアなん?
そもそも論をすると、資本主義社会では、企業は利益を追求するので、サプライチェーンの末端から流通ルート、自社組織にいたるまで、完璧にフェアなんてまずあり得ません。サプライチェーンの上流にいる先進国の企業の社員ですら生活賃金(最低賃金でも生活に困らない収入)が確保されているなんてことはまれ(というかあるのか?)でしょうし、そもそも非正規社員がいたらそれだけでひとでなし企業です。自国内ですらそんな状況だったら、サプライチェーンの端っこの人たちや環境にちゃんと配慮するとは思えないですよね。
それはさておき、法的な根拠を伴わない(徹底しようとすれば国際法が必要になりますよね)認証制度には、どうしても限界があります。2014年に行われた調査では、フェアトレード認証を受けている農場で働いている人たちの方が、フェアじゃないはずの大規模農場で働いている人たちよりも生活水準が低かったなんてことも。それに、基準を決めるのは、サプライチェーンの末端にいる開発途上国の労働者ではありません。超絶アンフェアだった労働環境や生活水準が、かなりアンフェアじゃなくなるといった感じ。
だから全然ダメだと言っているわけではありません。なにもしないよりはよっぽどいいんです。
でも、自分たちと同じ人間(多くの子どもも)が、自分たちが手に取るモノをつくるために、アンフェアな扱いを受けていて、それがフェアトレード認証制度のおかげで改善されたこと、言い換えれば「better than nothing(なにもしないよりはマシ)」を、恵まれている先進国の人間が満足に思っていてはいけないんじゃないでしょうか。
ましてや、これから先は、気候変動の影響を受けて作物の収穫が変動したり、ヘタすると人為的自然災害によって住む場所を追われる労働者が出てくるかもしれない時代に突入します。
民間の機関や企業に頼っていては、気候変動やその他の環境問題でいうところの「私たちひとりひとりにできることがあります」と同じで、不公正の元になっている社会システムを根底から変えることはできません。
ではいったい、どうすれば今よりももっとアンフェアじゃないトレードができるようになるのか。次回のエピソードではそんな話をしていきたいと思います。
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16/05/2021 • 24 minutes, 14 secondes 気候ポッド 第23回 ~ ネットゼロが救うのは、気候でも弱者でもなく化石燃料と資本主義 Climate Pod_Episode_023_Net Zero.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/3tB2xm5〓 Spotify: https://spoti.fi/3xUtDYV
今回のトピックは、気候危機対策に欠かせないまやかしのコンセプト『ネットゼロ(実質ゼロ or 正味ゼロ)』です。
『ネットゼロ』ってなに?
ネットゼロを式で表すと、『ネットゼロ=大気中に加わる炭素-大気中から除かれる炭素』です。簡単ですね(でもあんまりメタンや代替フロンは話題にならない)。発電や交通、製造などで排出される温炭素から、海や土壌、植物などに吸収される炭素を引いたときに、プラマイゼロになればネットゼロです。
でも、パリ協定の努力目標になってる1.5℃以下を達成するにはそれじゃ絶対にゼロにできないので、自然だけじゃなく不自然な力(炭素回収・貯留技術)まで使ってゼロにしちゃおうというのが今のコンセプト。
これだけ見るとできそうじゃない?でも悲しいかな、1.5℃以下達成に絶対必要な炭素回収・貯留技術は、今のところまだありません。うひょ。
なんのために気候サミットで目標を再設定したの?
アメリカの呼びかけでアースデイに開催された気候リーダーサミットは、アメリカが帰ってきて世界をリードするとアピールし、今秋に開催される予定のCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)に向けてモメンタムをつくるためのパフォーマンスです。それ以外の意味はまったくありません。
ネットゼロは、化石燃料と資本主義を少しでも長く続けるためのいんちきワード。延命装置と言っていいでしょう。でも、いつまでもだまされている間に、炭素回収・貯留技術が大規模に実施できるようになったりすると、化石燃料をガンガン燃やしながら炭素を全部回収して、公害物質を出しまくって年間に数百万もの弱者が大気汚染で亡くなりながら「これがお望みのネットゼロですよ」って言われることになりかねません。
ところで、参加各国が持ち寄ったアツい「野心的な新目標」ですが、あまりにもアツすぎて、目標を達成したら2.4℃も気温が上がっちゃいますよ。ぐへ。
そのときグレタは…
これまで主要な気候会議や世界経済フォーラムなどに参加して積極的に発言を行なってきた、ひとりぼっちではじめた気候ストライキを世界的なムーブメントにした、Fridays for Future設立者のグレタ・トゥンベリさんは、今回の気候リーダーサミットには参加せず(というか興味を示さず)に、同日に行なわれた米連邦下院の委員会で「化石燃料への税控除をやめろ」と発言していました。
Why?グレタ、Why?と感じるかもしれませんが、彼女はサミットの1カ月近く前の4月1日に「もういつまでにとかどれくらいという数字にこだわるのをやめて、今すぐに排出量を減らさなきゃって認識を持たないとダメです。2030年とか2040年の話はいくらでもできるけど、今なにをやるかが問題なんです」というメッセージを発信しました。
彼女は、気候サミットにも、各国が掲げるであろう新目標にも関心がありませんでした。その証拠に、彼女は気候サミットについても、各国の目標についても、一度もツイートしていません。ガン無視です。だって、元々の削減目標自体がパリ協定の1.5℃も2℃も満たさないもので、2030年の削減目標も、2050年のネットゼロも、具体策がなにもない絵に描いた餅だったんですから。1.5℃をあきらめる、即ち弱者を見捨てるような目標を掲げる場に興味を示してはいけないし、そこでなにかを求めるようなことをしちゃいけないっていうメッセージをグレタは発信していたんです。
そして彼女は気候サミットが開催されるアースデイにこんな動画を投下します。
〓️This is an emergency alert for the general public〓️#MindTheGap#LeadersClimateSummit#EarthDay#NoMoreEmptySummits pic.twitter.com/e1z1A783I2— Greta Thunberg (@GretaThunberg) April 22, 2021
気候サミットで各国が掲げる目標と、実際に必要な削減量や時期とのギャップ、人々の認識と現実とのギャップを埋めない限り、変化も望めなければ、気候危機の解決策も見つからない。それなのに、そのギャップに気づかないままでネットゼロのための削減目標に振り回されると、痛い目を見る。だから"Mind the gap(電車がホームに到着します。乗車の際には足元にご注意ください)"と、気候サミットにあわせて呼びかけたんです。
パリ協定調印式から5年後のアースデイ。ここまでの流れと、今後も繰り返されるであろう先延ばしと嘘、意味のない数字、傷つけられる弱者たちのことを考えると、当然の呼びかけだと思います。
そのとき日本の気候ムーブメントは…
アースデイに向けて全国一斉に緊急気候マーチを開催するというのを知ったときは、絶望のあまり幽体離脱しそうになりました。コロナの第4波に見舞われて、緊急事態宣言が発令されそうな状況下で、まだ集まろうとしていたんです。
考えてみてください。緊急気候マーチが4月22日。そして今、各地で新型コロナ感染者が増え続けています。自分が感染したかどうか、感染源になったかどうかは関係ありません。あの時期に外出してもいいという傲慢(ごうまん)なアイデアが、感染者急増の原因になっているんです。弱者を守るべき運動が、間違ったアイデアを広めてはいけないんです。
国に対してとるべき行動も守るべき存在も見失って迷走する姿に悲しくなります。
Fridays for Futureを名乗りながら、グレタの呼びかけを無視して、2050年までにネットゼロを含め、空っぽの数字にこだわる意味がわかりません。しかもハッシュタグに #NoMoreEmptyPromises とか使ってるんだからかなりの重症ですよ。だって、FFF Japanが日本政府に求めている2030年の削減目標って、どんな数字が出てきても empty promise なんですから。We don't want an empty promise any more, but give us some empty promise anyway. って言ってるようなものです。
それを、本家を無視したまま暴走して、気候危機にも新型コロナにも脆弱(ぜいじゃく)な環境弱者の命まで危険にさらしてしまった事実は、日本のムーブメントの信用とモメンタムを失う結果につながるだろうと危惧しています。というか、こんな社会に悪影響を及ぼすムーブメントなら要らないとすら思います。
気候危機も、新型コロナも、大切なのは想像力と思いやりなんですけど、その想像力と思いやりが必須の気候正義を掲げながら、実はどっちも持ちあわせていない(としか理解できない行動を起こし続けている)ムーブメントが目指す場所はいったいどこなのでしょうか。
まさか、グレタがリツイートしてくれているから、自分たちの活動が正当化されているなんて思ってないですよね。彼女は日本語話者じゃないし、日本のFFFがグレタの理念を理解せずに行動していることもわかってないですよ。もしも彼女のリツイートを承認と受け取っているのなら、勘違いは捨てて、グレタのメッセージをしっかり受け止めて、行動を見直した方がいいです。
そうすれば、身内とちやほや取りあげてくれる日本のメディア以外の人々の心にも響きはじめるでしょう。見放されていなければ。
日本の気候ムーブメントの危うさと希望
気候正義の概念に基づいたグレタの理念から大きく逸脱している日本の気候ムーブメントが、昔ながらの環境保護運動にありがちな、恵まれた学生やセレブ、大人が運営する環境団体など一部のエリートによる自己実現のための野外活動に終わらないことを願ってい
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10/05/2021 • 1 heure, 21 minutes, 59 secondes 気候ポッド 第22回 ~ プラスチックの責任は誰にあると思ってる? Climate Pod_Episode_022_Plastic.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/3xQf88q〓 Spotify: https://spoti.fi/3aXI4Bz
今回のおしゃべりは、プラスチックについてです。
ファストファッションのエピソード(『気候ポッド 第5回 ~ ファストファッション』)でも、衣類から出るプラスチックについて触れています。
プラスチック部分を抜粋すると…
・ 衣類を洗濯することで毎年50万トン(ペットボトル500億本分)のマイクロファイバーが海に流入。・ ポリエステルは着てるだけで洗濯するよりも3倍のマイクロプラスチックを大気中にばらまいている(人間が歩くマイクロプラスチックばらまきマシーン化)。
とまあこんな感じ。ろくでもないですね。
罪悪感を持つ必要はありません。「選んでいる」と「選ばされている」には大きな違いがあります。大半の人は、プラスチックが使われていない衣類を選べない生活をしていますから。
プラスチックが含まれる衣類を選択しているのは、消費者ではありません。製造販売している企業と、それを許している政府です。
で、今回はプラスチックそのものやリサイクルについて、いったいなんでこんなにプラスチックに囲まれることになってしまったのかっていう話をしました。
プラスチックってこんなモノまずはファストファッションのときと同じように、プラスチックにまつわるファクトを挙げてみましょう。
・ これまで(1950年から2015年まで)に生産されたプラスチック90億トンのうち、50%以上が直近18年間に集中。このままだと2025年までに380億トンの生産量に達する。これは、地球の海岸を100枚重ねのレジ袋で埋め尽くせる量。今の勢いで生産・消費が続くと、2050年までにプラスチックが石油生産に占める割合が20%まで増える。・ プラスチックの99%が石油・天然ガス・石炭由来・ これまでに生産したプラスチックの75%をリサイクルせずに捨てている・ 海に流れ込むマイクロプラスチックの28%がタイヤ・ 世界でリサイクルされているプラスチックは9%・ 日本でちゃんとリサイクルされているプラスチックは8%・ 年間のプラスチックごみの流出量が、このままだと2040年には倍増・ 日常生活で出たマイクロプラスチックが海を渡って違う大陸まで飛び(6日半飛べる)、マイクロプラスチックが地球を循環。・ ペットボトルの水にもマイクロプラスチック・ ビールからもマイクロプラスチック・ 水道水からもマイクロプラスチック・ 爽やかな潮風からもマイクロプラスチック・ 雨水からもマイクロプラスチック・ 海塩からもマイクロプラスチック・ 90%以上の食卓塩からもマイクロプラスチック・ ティーバッグから100億個以上のマイクロプラスチック粒子・ 魚介類からもマイクロプラスチック・ すべてのウミガメ種からもイルカやクジラ、アザラシからもマイクロプラスチック・ 人間の〓からもマイクロプラスチック・ 植物は根っこからマイクロプラスチックを取り込むことができる(野菜食べたらマイクロプラスチックも食べることに)・ ヒマラヤにも、アルプスにも、<a href="https://www.theguardian.com/environment/2018/jun/06/antarctica-plastic-c
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02/05/2021 • 1 heure, 13 minutes, 43 secondes 気候ポッド 第21回 ~ 災害時にコミュニティを支えるスポーツ球団と選手たちの役割と責任感 Episode_021_Sports and Community.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/32Z2MN7〓 Spotify: https://spoti.fi/3xoxiO3
※ どういうわけか、このエピソードは3月初旬に収録されました。テキサス州をはじめ米南部を襲った大寒波と、災害時に地元のスポーツ球団や選手がコミュニティでどんな役割を果たしているかについて話しています。
2月のテキサス大寒波で停電と断水が相次ぐ
テキサス州だけが大きく報じられましたが、テキサス、ルイジアナ、ミシシッピを中心に、米南部では2月の大寒波で多数の人が停電と断水に見舞われました。多くの死者も出ています。テキサス州では、400万人以上が停電を経験し、また長引く寒さによって水まで止まってしまい、極寒の中を電気も水もなく過ごすことになりました。
同州に住むブログ主の地域も例外ではなく、輪番停電で多くの人が数日電気を失い(ブログ主のコミュニティには上水道の施設の一部があったため停電を免れました)、大寒波の後半は上水道サービスでも水が凍って圧力が落ちたために断水することに。
なんでそんな大規模な停電が起こったの?
これまでにもテキサス州は10年に1回くらい大寒波に見舞われてきました。そのたびに停電が起こって、「電力システムを冬に強くなるように整備しないとダメだ」という話が持ち上がっては、コストを抑えて利益を増やしたい石油ガス&エネルギー産業に妨害されて実現しませんでした。
で、あの大寒波。大規模な停電が起こって数百万人の州民が寒さに凍えている真っ最中に、保守的な米共和党所属のテキサス州知事は、保守系のFOXニュースに出演して「停電が起こっているのは風力発電のタービンが凍って電力を供給できなくなったから(ファクト:風力は予想以上の電力を供給していました。凍って止まっていたのは、火力発電所と原子力発電所)」「停電は民主党のせい(ファクト:なにも対策をしないどころか献金をもらっている石油ガス産業やエネ産業のために共和党が対策を妨害)」「グリーン・ニューディールのせい(ファクト:ただの言いがかり)」と相変わらず共和党お得意の嘘を吹聴していました。
なにが起こっていたのかというと、石炭火力、天然ガス火力、原子力の発電所が凍って電力を供給できなくなったのと、天然ガスは各家庭に優先的に供給しなければならないために、電力に供給できる量が不足する事態になりました。散々指摘されてきたのに、準備がまったくできていなかったんです。
要するに、責任は州民の安全よりも利益を追求した石油ガス&エネルギー産業と、その意向を政策に反映させて準備を怠ったテキサス州議会の共和党と、テキサス州知事、もっと根っこまで掘り下げると、強欲な資本主義にあるということです。
あ、そうそう。テキサス州選出の連邦共和党上院議員のテッド・クルーズにいたっては、「娘たちにせがまれたから」という理由で、極寒の家に飼い犬を残してメキシコのリゾート地、カンクンに家族旅行に出かけたのを飛行機内で写真を撮られてSNSに拡散され、叩かれまくって翌日に自分だけとんぼ返りするかっこ悪さというかろくでもなさを存分に発揮。
やれやれです。
ところで、大寒波と温暖化との関係は?
大寒波がくるたびに、「ほらみろ温暖化なんて嘘じゃないか」と科学的事実そっちのけで無知をさらす人が出てくるのですが、温暖化が進むとジェット気流が大きく蛇行してスピードが落ちて南に伸び、北極の寒気団が中緯度地域までおりてきやすくなるため、冬に今回のような激しい大寒波が起きるようになります。
つまり、温暖化によって大寒波は起こりやすくなってきているんです。
被災コミュニティを支えるスポーツ球団やローカルビジネス
災害時には、国や州が「非常事態宣言」みたいなのを発令したりしますが、あれって誰が救済のための支援金を出すかをハッキリさせるためで、すぐにそのお金や食料などが必要な人の元に届けられるわけではありません。ハッキリ言って、いま食べるものが必要な人たちにとってはクソの役にも立たないんですね。
そんな救いがなにもなさそうな状況の中で、被災者とコミュニティを献身的に支えたのは、地域に根差すスポーツ球団や所属選手、そしてローカルのビジネス経営者たちだったんです。
テキサス州ダラスに本拠地を置くNBA(米プロバスケットボール)のダラス・マーベリックスは、停電と断水で食べ物と飲み物に困っているダラス市民のために、球団とオーナー、選手やコーチたちが、ダラスのコミュニティに密着して活動しているいくつかのフードバンクを選んで寄付しました。
大きな慈善団体ではなく、なぜ地元のフードバンクを選ぶのでしょう?それは、コミュニティのことをよく知っているからです。どの地域のどれくらいの人がどんなもの(食べ物や飲み物以外にも、必要な生活用品はありますよね。災害時になかなか集まらないおむつや生理用品、トイレットペーパーみたいに。)に困っているのか、小回りが利く分、よく理解しているので、効率よく必要な人に必要なものを届けることができるんです。
今回だけではありません。昨年、新型コロナが広がったときには、ダラス・マーベリックスが地元の医療機関に金銭の寄付をしたのはもちろんのこと、選手やコーチたちが毎日、全国チェーンではなく、ダラス市民が経営しているカフェやレストランでランチや朝食を自腹で調達して、医療関係者に届けていました。
それ以外にも、選手たちが医療関係者数百人分のスニーカーを寄付したこともありました。
もっとさかのぼると、2017年にハリケーン「マリア」によってプエルトリコが甚大な被害を受けた際には、当時マーベリックスに所属していたプエルトリコ出身のJ.J.バレア選手がオーナーのマーク・キューバンにチーム専用機を借りて、ダラス市民から集まった救援物資を積み込んで、何度も故郷のプエルトリコを往復しました。
災害時だけじゃないコミュニティとの日常的なコミュニケーション
こういったスポーツ球団や選手とコミュニティの関係は、平時に積み重ねられた小さなコミュニケーションによって育ってきたものです。
シーズンオフには子どもたちを対象に選手やコーチが参加してバスケットボール教室を開催したり、シーズン中でも小学校や保育園で選手たちが読み聞かせ会を開いたり、ゲームがない日にはダラス市内のスーパーやスポーツ用品店で選手がサイン会を開催したりしています。
また、選手がマイノリティの貧しい地域にバスケットボールコートを寄付したり、アフタースクールプログラム(ひとり親や共働きの家庭が放課後に子どもを預ける施設)にコンピュータ数十台を寄付したりなど、コミュニティが必要とするものを提供しています。
球団もそうですが、多くの選手が自身の経験にもとづいた基金を設立して、年俸の一部や集まった寄付をコミュニティに還元しているんです。理由は、コミュニティがなければ、球団は存続できないから。ダラス・マーベリックスは、企業の持ち物ではなく、ダラス市民のものなんです。だからチーム名は「ダラス」・マーベリックスなんです。日本のプロ野球のように、ブランド名は出しません。球団は、企業の広告ではないんです。
しかも、ダラス・マーベリックスに、ダラス出身の選手はひとりもいません。所属選手の3分の1はアメリカ出身ですらありません。それでも、いつまでいるかわからない(NBAの大半の選手はだいたい数年で移動します)コミュニティのために活動しています。新型コロナや気候危機などに共通して必要なものですが、共感力、想像力、思いやりにあふれているんですよね。それが個人で育んできたものなのか、球団の教育によるものなのかはわかりませんが、たぶん両方でしょう。NBA選手には黒人が多く、その大半が貧しい子ども時代を過ごしているのも大きいかもしれませんね。ダラスからは離れますが、今回の大寒波で、ヒューストンでは家具屋さんが店舗を開放して、形状記憶の豪華なベッドを寝場所として被災者たちに提供していました。「マットレス・マック」の愛称でヒューストン市民から愛されるこの家具屋の社長は、ハリケーン「ハービー」が未曾有の被害を出したときにも、同じように店舗を開放してマイノリティを中心に受け入れていました。今回は、食事や飲み物を提供するだけじゃなく、子ども向けのイベントまで企画実行していたそうです。
スポーツが感動や夢を与えるものであることに異論はありませんが、困っている地元地域の住民たちが困っているときに必要な助けの手を差し伸べる米スポーツ球団とその選手たちには、感謝と敬意しかありません。
こういう文化が、日本のスポーツ界にも広がってほしいなって思います。災害時に必要なのは、夢や感動よりも、今日の夜ご飯なので。
善意や想像力、思いやりは日常的なコミュニケーションから
日本だと、ときどきタレントや俳優などが被災地に物資を届けたり、炊き出しをやったりプロスポーツ球団と選手がボランティアをしたりというニュースは見聞きしますが、平時から地元コミュニティ、特に社会経済的な弱者を救済するといった、地域に密着した活動の話は聞こえてきませ
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25/04/2021 • 1 heure, 35 secondes 気候ポッド 第20回 ~ 1.5℃とか2℃とかあと何年とか数字にこだわらなくてもいいという話 Climate Pod_Episode_020.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/3uZbAOF〓 Spotify: https://spoti.fi/3anhilQ
【訂正】冒頭で21回目と言っちゃってますが、フェイクニュースです。本当は20回目です。脳内で変換してください。
今回のエピソードでは、数字の話をしています。1.5℃未満とか、2℃未満とか、あと4年とか。この3低ポッドキャスト(知識も意識も低いけど敷居も低いのだ)ではあんまり扱わないテーマなのですが、最近このあたりのノイズが目立つので話してみました。
パリ協定の目標1.5℃と2℃ってなんなん?
パリ協定では、産業革命前からの気温上昇を壊滅的な影響が出始めるされる2℃未満を目標にしようという流れになっていたのですが、島しょ国やアフリカの開発途上国などが「それでは国が消滅してしまう」と主張し(当然ですよね。南太平洋の海抜が低い島しょ国は本当に沈んじゃうので)、政治的な駆け引きもあって、「2℃を大きく下回り1.5℃を目指す」というところに落ち着きました。
でも、1.5℃目標は、沈みゆく島しょ国や、排出量は極端に少ないのに気候変動の影響を極端に受ける開発途上国のために設定されました。つまり、倫理・公正の視点から考えると、私たち先進国の恵まれた人間が、自分たちのために使っていい数字ではないんです。主張するのなら、グローバルサウスの弱者のためであるべきなんです。なので、そういう環境正義/気候正義的な視点と配慮を欠いた、無責任な1.5℃未満の主張には違和感をおぼえます。
ところで、1.5℃や2℃未満は達成可能なの?
ひと言でいえば、可能です。不可能という科学的事実はいまのところありません。かなり小さい可能性しかありませんが、不可能ではありません。今はない技術の地球規模での開発など、クソ厳しい条件をクリアできれば、達成できます。
あまり誰も話さないのですが、「既定の温暖化」というのがあって、大気中の二酸化炭素濃度が400ppmだった時点ですぐに排出量をゼロにしても(できてませんし、まだまだできそうにありません)、気温は0.66℃上昇するというものです。つまり、2100年までに産業革命前比で1.66℃上昇が保証されてしまっていることになります。
最近の研究結果では、産業革命前比で気温が2.3℃上昇する分の二酸化炭素をすでに排出してしまっているそうです。でも、排出量がゼロになれば、温暖化の速度は落ち、数百年かけて2℃の壁を超えるとのこと。
これらの結果にプラスして、化石燃料の使用をやめると、大気汚染がなくなります。汚染物質は太陽エネルギーが地表に届くのを遮ってくれているので、それがなくなれば気温は上昇します。それが0.2℃から0.5℃くらいといわれています。
ということは、既定の温暖化と大気汚染の解消で、最大2℃以上の気温上昇がすでに保証されていることになります。
1.5℃や2℃の目標値を超えてしまったからといって、私たちに努力をやめるという選択肢はありません。あってはいけないんです。
数字ではなく具体的な行動を求めて
じゃあ、目標をどこに設定すればいいのか?
いつでもどんなときでも「今すぐ二酸化炭素排出量を最速で削減する」です。私たち地球市民は、象徴的な数字ではなく、具体的な行動を企業と国に求めていかなければなりません。
数字の目標にこだわっていると、「数字ウォッシュ」にやられてしまいます。実際の行動を起こすことなく、ガス抜きのためにできもしない、実現させるつもりもない数字を設定されてなんとなく達成感に浸ってしまい、何年もの間なにも起きずにまた慌てて数字を求めることになります。
「いつまでに」とか「どれくらい」とか「あと何年」とか、悪影響が大きいメッセージを発信してはいけないという指摘を気候科学者が何年も続けてきています。
気候コミュニケーションに定評のあるキャサリン・ヘイホー氏に100%同意します。「科学者は『気候変動を止めるために残された時間はあと○○年しかない。じゃないと地球が滅びる』なんて言ったことはありません。こういうメッセージが多いですが、1.5℃報告書を完全に誤って解釈しています」 #気候正義 https://t.co/uQwhvBKtGM— 気候変動の向こう側 #WearAMask〓 #StayHome〓 (@Beyond_Climate) April 6, 2021
こういう終末論的で脅すようなメッセージは、人の目と耳と心を閉ざさせてしまいます。一般の人に対してこういった間違ったメッセージを発信すると、逆効果になる可能性があります。
Fridays for Futureのグレタ・トゥンベリさんも、いつまでも数字にこだわらずに、今すぐ排出量を削減させなきゃという認識を持つべきだと発信しています。
あと何年とか、何年までにどれくらい排出量を抑えなきゃとか、悠長にそんな数字の話をしている場合じゃないってことです。心から同意します。⇒ グレタ:「日付(いつまでに)や数字(どれくらい)に焦点を当てるのをやめて、今すぐに排出量を削減すべきだという認識を持たなければいけません。」 https://t.co/cNXEtiVYIG— 気候変動の向こう側 #WearAMask〓 #StayHome〓 (@Beyond_Climate) April 1, 2021
遅すぎることは絶対にありません。いつでもどんなときでも、行動を起こすべきときは「いま」です。
「絵に描いた餅」はもうおなかいっぱい
パリ協定は絵に描いた餅でした。「2050年に実質ゼロ」も絵に描いた餅です。
このうえ、「20○○年までに○○%排出量削減」という絵に描いた餅まで増やしてどうするんですか。
そろそろ本物の餅を手に入れるために動くときです。
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18/04/2021 • 46 minutes, 50 secondes 気候ポッド 第19回 ~ 2020年良かったニュース&悪かったニュース Climate Pod_Episode_019.mp3〓 Apple Pod: http://apple.co/38yjsyo〓 Spotify: http://spoti.fi/3saa0Jk
【いきなり訂正】どこでどう勘違いしたのか、ポッドキャスト内で今回のエピソードを「20回目」と言っていますが、「19回目」の間違いです。また、エピソードは2020年中に収録したため、「今年」は「2020年」に脳内変換して聞いてください。
さて、2020年は本当にろくでもない年でした。近代史で最悪の1年だったのではないでしょうか。だからといって、なんの希望も持たずに年を越すわけにはいかないってことで、良かったことも振り返っています。
一応、「悪かったニュースと良かったニュースをそれぞれ3つずつ挙げよう」とだけ決めていたのですが、ニコはそれぞれのニュースが良い部分と悪い部分があるということで3つ、ケンの方は取り決めどおり良いニュースと悪いニュースを3つずつ振り返っています。
なお、数字は振ってありますが、ランキングではありません。というか、それぞれの出来事で影響を受けた命のことを考えると、順位を決めることはできません。
ニコの2020年振り返りこんにちはー!3低代表のニコでーす!(※3低…意識、知識、敷居の3つ全てが低い♪)ケンに「自分が挙げた内容については自分で文章を書くように」と言われちょっとパニックになりながらも、ポッドキャストと同様に日常会話をするように書いてみたいと思います!
まず、2020年において自分が思う良いこと・悪いこと、それぞれ3つずつ話そうということで準備し始めたのですが…私はどうしても両方合わせて3つになってしまいました。どういうことかと言うと、深く考えれば考えるほど、どの事柄も良い面と悪い面を併せ持っていると感じたのです。ということで選んだ3つがこちらです!ジャジャンッ!!!!!
① BLM(Black Lives Matter)② アメリカ大統領選挙③ スコットランド議会にて「生理用品無料提供の義務付けを可決!」
順を追って紹介していきます。
① BLM(Black Lives Matter)日本語で言うとすれば「黒人の命も尊重せよ」みたいな感じでしょうか。BLMの運動は以前から続いてきたようですが、今年5月黒人男性のジョージ・フロイドさんが警官による暴行で命を落とした事件をきっかけにアメリカのみならず他国までも広がっていきました。だんだんと抗議活動が暴力的になってきたとき、ジョージさんの弟さんが「暴力をやめて投票を!」と運動の参加者に向けて訴えかける姿がありました。「私たちの声が届かないなんて考えは捨てて、みんなのために投票しよう」「Peace on the left , Justice on the right (左手に平和を、右手に正義を) 」この言葉を聞いたとき、このBLMの運動は「黒人」の差別問題だけではなく、この世界中の差別や不平等に繋がっている。なんて力強く、多くの人を励ます言葉なんだろうと思いました。
この流れからの、② アメリカ大統領選挙 です!①のBLMと②の大統領選挙は私の中で切っても切り離せない関係です!今まで「選挙」に関してどれだけの人が諦めてきたことでしょう。私もその一人です。投票には行くけれど、今までちゃんと向き合ってきませんでした。(猛反省中です)今回の大統領選挙の結果はアメリカのみならず世界中の人々へ「リーダーは私たち、選挙で世界は変えられる!」というメッセージを届けてくれたような気がします。①のBLMと切っても切り離せないというのは、今回の選挙は「今まで選挙に行かずに諦めていた層」が大きく動いた結果なのではないかと思うからです。世界を変えたければ、選挙を自分ごとにして、自分たちの尊厳を取り戻す世界に向かおうと、アメリカの市民たちが世界中にそのように発してくれたように感じます。このポッドキャストのテーマは(裏テーマ?)「気候変動」なのでそれらしいことを言えば、バイデン大統領に変わることで気候変動対策は世界的にも推し進められていくことでしょうし、気候変動は環境問題と捉えられがちですが(もちろんそうでもありますが)、気候変動=社会問題(ありとあらゆる問題に繋がってる!!!)であると思うので、日本も「思いと行動」で選挙に、そして世界に参加する空気をつくっていかなければ!
③スコットランド議会にて「生理用品無料提供の義務付けを可決!」これ、「え?!」こんなのを選んだの?と感じる方もいるかもしれません。「性」について話すことは日本ではなんとなくタブー視されていてこういうことって問題として取り上げられてこなかったと思うのですが…それはなぜか?ポッドキャスト内でも話していますが、本当に人類の歴史はずーっと「男社会」で成り立っているんだな~と思います。女性を代表してはっきり言います!生理ってめちゃくちゃ大変なんですよ!個人差はありますが体や心の色んな部分が乱れます!しかも1ヶ月に1回やってくる!男性の皆さん、この苦労を積極的に知ろうとしてみたことはありますか?この「性」についての話は近々これをテーマにガッツリ話してみたいと思っています。だってこの「性」に関することも気候変動とめちゃくちゃ関係しているので!!!!!日本も生理用品無料提供にならないかな~…それが可能になった頃には日本ももう少し弱者、そして女性に優しい社会になってるんだろうな…。
このような感じで3つ取り上げてみました。一見、全然環境問題とか気候変動とか関係ないじゃん?!と思われると思いますが、関係しまくっています。「気候変動=環境、自然」はわかるけど、なかなか「社会問題と気候変動のつながり」が理解出来ない、繋がらないという方もいるかもしれません。2021年のポッドキャストでは気候変動は引き続き裏テーマで(?!)みなさんと一緒に楽しくお喋りしたいと思います。そして「気候変動を日常会話に」が広がっていきますように…!ケンの2020年振り返り悪いニュース・ オーストラリアの森林火災もはや遠い昔の話のように感じますが、2020年は前年から持ち越した前代未聞のオーストラリア森林火災で幕を開けました。ポッドキャストの第7回目のエピソードで話していますので、記事を読んで、自分の生活とつながっている問題だと思いながら聴いてもらえるとうれしいです。
・ 新型コロナウイルス2020年は新型コロナウイルスなしでは語ることができません。気候変動に興味がある人、特に気候正義に関心を持っている人にとっては、気候変動と新型コロナは切っても切れない関係だということを念頭に置いて考え行動してくれることを願っています。なぜなら、気候変動と新型コロナの影響を最も受けるのは、共通した環境弱者だからです。高齢者、女性、ホームレス、障害者、ひとり親(特に女性)、妊婦、低所得者、アメリカの場合だと黒人やヒスパニック系の有色人種などが、気候変動とコロナの偏った影響を受けています。そして、この問題の根本は、社会的構造です。こういう方たちに影響が偏るのは、社会がそうなるようにできているからに他なりません。気候変動にも感染症(パンデミック)にも強い社会をつくるには、差別や格差などの不公正をなくし、公平な世の中をつくる努力をしなければいけません。
とりあえず今、環境弱者たちを気候変動とコロナから守るためにできることは…
1. 不要不急の外出をしない(どうしても必要なデモは除く)2. どうしても外出する必要がある場合は、必ずマスクを着ける(フェイスシールドやマウスシールドは除く)3. マスクをしたうえで2メートルの社会的距離を保つ4. 国やインフルエンサーではなく、専門家の声に従う
こんな感じです。普通は3つめまででいいのですが、怪しいことこのうえない活動家がはびこっていて、ほいほい信じると最悪の場合、自分の命を落とす可能性があるだけでなく、誰かにとって大切な人の命を脅かすことになるので、専門家(科学)を信じるようにしてください。あ、専門家の名前を出さずに「専門家がみんなそう言ってる」とか言う人もアウトですよ。
・ フェイク環境保護活動&フェイク気候正義ムーブメントの台頭ここ数年、異常気象が相次いでいることや、グレタ・トゥンベリさんの影響もあって、気候変動や環境保護活動への関心も高まってきました。気候変動問題をずっと訴えてきた身としては、それ自体はとても喜ばしいことだと思っています。「地球を守りたい」「気候変動を止めたい」「弱者を守りたい」「生態系を守りたい」。動機は様々だと思います。こういう思いを形にするために行動を起こすのは、素晴らしいことです。しかし、気候変動を止めるための行動が科学的事実や、環境正義の概念に沿わないものだったら、まったく意味がありません。長い目で見るとむしろ害悪です。先ほども話しましたが、コロナの影響を受ける弱者と気候変動の影響を受ける弱者は重なっているのに、コロナの影響を無視して気候正義運動をしていたのでは、「誰を守ろうとしているの?」と活動そのものの動機に疑念を抱かれてもしょうがありません。また、気候科学は信じるのに、新型コロナの科学は否定するなどという一貫性のな
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11/01/2021 • 1 heure, 12 minutes, 8 secondes 気候ポッド 第18回 ~ 気候変動と新型コロナウイルス。その愛と思いやりはホンモノ? Climate Pod_Episode_018.mp3〓 Apple Pod: http://apple.co/3mRDess〓 Spotify: http://spoti.fi/2Jluttd
新しいエピソードがアップされるたびにすぐ聴いていなかったリスナーにはさっぱりわからないと思いますが、半年ぶりのエピソードになりました。
この半年間は、ひたすら人のエゴと愛を見せつけられる期間でした。
気候変動では、一部の環境活動家と環境団体が、自身のエゴや世界観を広げるために、それぞれの活動で掲げている「気候正義」からはかけ離れた言動を行なっていることにあきれ果てる日々が続きました。
また、新型コロナウイルスでは、厳しい活動自粛が行なわれた春よりも状況が深刻化しているにもかかわらず、外出する人は多いわ(政府や自治体がGo Toとかやったら、科学的思考に慣れていない市民が「コロナたいしたことない」と勘違いするのは当然ですが)、3密そっちのけで集まる人が多いわで、怒りを通り越して悲しくなりました。
特に、気候変動の深刻さを知ってもらうために活動しているはずの環境活動家や環境団体が、しかも、環境弱者を守るために気候正義の達成を訴えているような人たちが、新型コロナから環境弱者(気候変動と新型コロナの弱者は同じです)を守るためのマスクも着けず、社会的距離も置かずにデモを行なったり、そういう人や団体とイベントを行なうFridays for Future支部が出てきたりで、「いったいこの人たちが守りたいものはなんなのだろう?」という疑問が頭の上を飛び回っていました。
※ Fridays For Future Japanが、『新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン』を発表してくれました。ずいぶんと時間はかかってしまいましたが、約束を守ってくれたこと、なによりも環境弱者を守るために環境正義/気候正義の概念を新型コロナにもあてはめてくれたことに感謝します。ありがとうございます!
気候変動も新型コロナも、科学の声を聴いて、愛と思いやりを持って行動しなければ意味がありません。
いろいろ事情があって中断していたポッドキャストですが、環境問題や気候変動の倫理や公正について学んだ者として、また、気候変動も新型コロナも愛と思いやりが解決するんだと信じている者として、居ても立ってもいられなくなって戻ってきました。
新型コロナや気候変動を「たいしたことない」「騒ぎすぎ」と軽く見たり、気候変動からは弱者を守るけど、新型コロナからは自力で生き残ってというメッセージを発信したり、組織として基本的な説明責任も透明性の確保も果たさなかったり、科学と気候正義(環境正義)の概念をイデオロギーや世界観にあわせて都合良く使い分けたりする活動家や環境団体に、なんの疑いも持たずに信じてついていってしまう、誰かを守りたい、地球を守りたいと願っているやさしい人たちをひとりでも減らせるように、これからまた「知識も意識も低いけど敷居も低い『3低ポッドキャスト』」を続けていきます。
環境活動家や環境団体の中には、「私たちひとりひとりにできることがある」といった、「個人の生活を変えれば気候変動を止められる」という間違ったメッセージを発信する人たちがいますが、システムを変えなければ、気候変動もパンデミックも止めることはできません。
システムを変えるためには、政治に参加するしかありません。そのために「私たちひとりひとりにできること」は、気候変動やその根っこにある社会問題の話を日常会話にすることです。
そして、その変化は、ニセモノではないホンモノの愛と思いやりによって起こさなければいけません。
新型コロナの第3波が猛威を振るっている今、私たちひとりひとりにできるのは、不要不急の外出を控え、どうしても出かけなければいけないときは必ずマスクを着け、社会的距離を保つことです。
それは決して難しいことではありません。精一杯想像力を働かせて、会ったこともない、一生会うこともないであろう人たちに愛と思いやりを持って行動すればいいだけです。
新型コロナウイルスで亡くなった方たちと、その家族や友人に思いはせながら、2020年を見送り、2021年を迎えたいと思います。
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26/12/2020 • 1 heure, 2 minutes, 22 secondes 気候ポッド 第17回 ~ 東京都知事選:宇都宮けんじ氏と山本太郎氏の気候変動対策を比べてみた。本 当の「弱者の味方」はどっち? Climate Pod_Episode_017.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2NR250C〓 Spotify: https://spoti.fi/2C5velS
2020年7月5日(日)は何の日?
アメリカの独立記念日の翌日で、新型コロナがさらに勢いを増して感染しまくるのが決定する日。
ではなくて、東京都知事選の投票日ですね。
Global City(世界都市)である東京がどんなリーダーを選ぶのか。日本にとってよりも、おそらく世界にとっての方がその意味は大きいような気がします。新都知事が温室効果ガス大量排出国の首都のリーダーとして、気候変動問題にどんなビジョンを持っているのか、世界が注目していると思います。なんてったって、日本がどこにあるのか知らない人でも、Tokyoのことは知っていたりするので。
さてさて、ここは気候変動のブログ&ポッドキャストなので、気候変動、その中でも特に気候正義問題で都知事候補がどんな政策を掲げているのかを比較してみることにしました。
そしたら残ったのは宇都宮けんじ氏と山本太郎氏だけ。しかも、気候正義をカバーしているのも、まともな政策になっているのも、宇都宮氏だけ。
気候変動は、人類が直面している過去最大で最も深刻な危機です。社会の構造的な問題を増幅させる温暖化をこのまま放っておくと、弱者の被害は大きくなるばかりです。
にもかかわらず、メディアもまったく焦点を当てないし、そもそもずっと気候変動が争点になったことがないくらいなので、候補者がなんの政策も持ってなくても驚きはありませんが、日本の気候変動問題を取り巻く環境をひとことで表現すると「ひどい」です。
宇都宮氏と山本氏の気候変動政策へのリンクを貼っておくので、東京都の有権者は読んで聴いて、自分の考え、自分の理想とする未来像を共有できる(できそうな)候補者に投票してください。また、東京以外の方は、自分の住む道府県や自治体にも活かせそうな部分を探して、選挙の際に参考にするのも良いでしょう。
宇都宮けんじ氏・ 宇都宮けんじの政策・ 重要政策02 「気候危機」に対応した地域経済の振興。防災減災重視のまち東京をつくります・ 重要政策03 東京都として「気候非常事態宣言」を表明し、「希望のエネルギー政策」を実現します・ PDFバージョン(全51ページ)
山本太郎氏・ 政策(中ほどに約20行の政策あり)・ 意味不明な点として、れいわ新選組で掲げている「エネルギーの主力は当面LNG火力。再生可能エネルギー100%を目指します。」がどこにも出てきません。国政と都政は違う?それともただの二枚舌なのでしょうか?
宇都宮氏の政策を読むと、社会的弱者が気候変動の影響を最も受けることを理解しているのがよく伝わってきます。弱者を救済しない気候変動対策も、気候変動対策抜きの弱者救済もあり得ないのです。
が、山本氏の政策を見ると、弱者と気候変動の関係をまったく理解していないか、理解したうえでつながっていないかのように振る舞っているような印象を受けます。山本氏が力を入れている脱原発・脱被曝は、「環境正義問題」です。こっちの環境正義問題はなくすけどこっちの環境正義問題は放置する、もっと言えばこっちの弱者は助けるけどこっちの弱者は見捨てるなどあり得ないのです。
両候補共に「グリーン・ニューディール」という言葉を用いていますが、環境正義・気候正義の要素を一切持たない山本氏の政策は「グリーン・ニューディール」でもなんでもありません。
みなさんは、どの候補のどんな政策を支持しますか?
千里の道も一票から。
GO VOTE!!
そしてとにかくなによりも「気候変動を日常会話に!」
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03/07/2020 • 38 minutes, 2 secondes 気候ポッド 第16回 ~ 気候正義を訴えるためにそのルーツの環境正義問題を学べば「知識よりも気持ち」に たどり着く Climate Pod_Episode_016.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2NAm8Ab〓 Spotify: https://spoti.fi/3dIYxIe
Context is Everything.Repeat after me."Context is EVERYTHING."
見えている問題を解決するためには、その問題の背景を知ることが大切です。
それと同じように、今ある問題を解決するためには、そのルーツをたどることが大切になってきます。
グレタ・トゥーンベリさんが「気候正義」を求めてスウェーデンの国会前で座り込みをはじめたのは、約2年前のこと。すげー。2年近くムーブメント続いてるよ。正しいボタンを押し続けてるよね、グレタは。賢くてしたたかで強くてあたたかい。勉強が好きと言うだけあって知識も豊富だけど、知識に頼らない心からのメッセージを発信しているからこそ、世代を超えて多くの人の心を動かしてきたんだと思います。
以前のエピソードで、彼女が渡米した際に、北米の先住民居留地を回ったという話をしました。先住民は、黒人やヒスパニック系と同じく、気候変動や環境汚染の深刻な影響を受けています。
グレタは気候正義を訴えながら、そのルーツである「環境正義」のことも勉強しているんだろうな、という印象を受けます。彼女は、気候変動の影響だけじゃなくて、その根本にある社会の構造的な不公正をなくしたいのだと思います。
端的に言うと「環境正義」までさかのぼらない「気候正義問題」のメッセージには、背骨がないんです。環境正義運動がいつ誰が誰のために起こした何のための運動だったのかを知らないままで気候正義を訴えても、「正義」「公正」の意味すら説明できないと思います。
今回のエピソードでは、1970年代にアメリカで生まれた環境正義(環境人種差別)のルーツや例を挙げながら、やっと日本に芽生えはじめている(根差しているとは言えない)若者たちによる気候正義運動に欠けているものについて話しています。
若者は、気候危機の被害者であり、有色人種、ホームレス・貧困層・低所得層、屋外労働者、女性、高齢者、子ども、障害者、LGBTQ、途上国の人々、これから生まれる未来の世代、生態系などと同じ、気候正義問題の中心になる存在です。
気候変動の科学的知識もある程度大事ですが、知識で人の心を動かすことはできません。科学的知識に人の心を動かす力があるなら、温暖化はとっくに解決に向かっています。知識を得るための勉強会なんて、自己満足でしかないんです。
若い世代には、ムーブメントを生み出したグレタのような広い視野と大きな心を持って、自分たち以外の社会的弱者の声に耳を傾けて、心に寄り添って、そういう人たちの表情まで届けられるような、気持ちを込めたストーリーを発信してほしいです。
人の行動を変えるのは、心です。心が動けば、行動は変わります。人の心を動かせるのは、心だけです。
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28/06/2020 • 25 minutes, 1 secondes 気候ポッド 第15回 ~ 夢見る世界と現実と: ベーシックインカムと東京都知事選 Climate Pod_Episode_015.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2Z0ML6I〓 Spotify: https://spoti.fi/317I4L7
今回のエピソードでは、気候変動時代に強い社会構造にシステムを変えるための対策としてEUやアメリカでは聞き慣れてきたグリーン・ニューディールと、公正な社会に向かうための答えのひとつと思えるベーシックインカムを軸に、こんな世界で暮らしたいなぁっていう「夢」と、そこから現実に戻って東京都知事選について話しています。
みなさんは、ベーシックインカムって聞いたことありますか?
ベーシックインカムは、「政府がすべての人に対して、無条件で必要最低限の生活を保障する収入を支給する制度」です。つまり、「すべての人が生活費を支給してもらえる制度」ってことになります。
ベーシックインカムの基礎知識や、実際に導入したらどうなったかについては、以下の記事がわかりやすいです。
・ フィンランド政府が2年間ベーシックインカム給付をして分かったこと|現代ビジネス・ ベーシックインカムとは何か? なぜ、いま議論が盛り上がっているのか?|Business Insider Japan
英文記事を検索すると、ベーシックインカムを試験導入した小さな自治体やコミュニティで人々にどんな変化が起こったかなどについての情報を得ることもできますが、ざっくりとまとめると、「いいことしかない」って感じです。
ベーシックインカムは、僕たちにこう問いかけてきます。
「お金の心配をしなくていい世界になったらあなたはどう生きたいですか?」
規模にもよりますが、基本的にはベーシックインカムを導入すると、自分の時間を自分のために、自分の思うままに使うことができるようになります。
その時間を仕事に費やして収入を増やすのもよし、転職を繰り返してやりたいこと&なりたい自分を探すのもよし、家族と過ごすのもよし、家族を増やして育てるのもよし、趣味に費やすのもよし、新しいことを学ぶのもよし。とにかく、自分の可能性を無限に広げることができるようになるんです。
また、ベーシックインカムは、気候危機の影響が激化・深刻化して、いつ住んでいる場所を追われるかわからい状況や、新型コロナのようなパンデミックと共存を強いられる世界に必要な制度だと思うのですが、みなさんはどう思われますか?
こんな世界で暮らしたい!っていう理想や夢を聴かせてください。
こんな世界だったらみんなが幸せに暮らせるよねっていう夢の話から一転して、後半は東京都知事選について話しています。
東京は、日本に興味がないテキサスの人たちでも知っている、名実ともに大きな地域&都市。気候変動対策でも、世界のリーダー的な役割を担ってもらわなければ困ります。いつまでも「日本で気候変動といえば、京都議定書で有名な京都」では本当に困るんです。
そんな中で、人権や貧困、原発廃止には力を入れているのに、なぜかそれらがすべて絡んでいる気候変動対策には興味なさそうな山本太郎氏が都知事選に立候補していて、しかもSNSには同氏を熱狂的に支持する人たちがあふれていて、夢の世界から悪夢の世界に突き落とされたような気分になります。
都知事選、みなさんはどういう理由でどの候補者を支持しますか?
【あわせて読んでほしい記事】◆ 気候ポッド 第12回 ~ 政治のお話: 命を救いながら命を奪うれいわ新選組の矛盾
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24/06/2020 • 44 minutes, 31 secondes 気候ポッド 第14回 ~ 魚と自由な発想と強い意思がお米の温室効果ガス排出量を減らすかも Climate Pod_Episode_014.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2YygDav〓 Spotify: https://spoti.fi/2XZp6Eo
前回に引き続き、日本人の主食であるお米の話です。
温暖化が進むとお米の…
・ 収穫量が減る・ 栄養価が減る
なのに、人口は増えるというお先真っ暗な状況にあることは、前のエピソードで話したとおりですが、今回はさらによろしくないことが加わります。
お米のカーボンフットプリントは、穀物でトップだって知ってますか?お米は、生産時には大量のメタンを放出します。そこから先は、流通や調理で二酸化炭素も排出します。
あかんやん。
だがしかし、もしかすると生産時のメタンの排出量を90%削減させる救世主がさっそうと現れるかもしれません。
そのスーパーヒーローは、魚。
そう、魚です。人間だとでも思いました?破壊王の人間にそんなの無理な話です(今のところ)。
でもね、魚を水田に放流するだけで、メタンの排出量を激減させるかもしれないってところにたどり着いたのは、3人の自由な発想をする人たちのおかげだったんですよ。
まず、お米の生産時に排出される大量のメタンをなんとかできないかと考えた、環境を守る企業として名高い『パタゴニア』の人。そして、パタゴニアから相談を受けた科学者Aさん。そしてその科学者が注目した研究結果を発表していた科学者Bさんの3人。
パタゴニアから相談されたひとりめの科学者Aさんは、水田で魚を放流すればメタン排出量が減るという研究結果をみつけたものの、効果はまちまちで使えなさそうな感じでした。でも、あきらめずに調べ続けたら90%もメタン排出量を削減させた科学者Bさんの研究結果にたどり着きました。しかし、残念なことにその研究が行なわれたのは、水田ではなく湖でした。
でもでも、科学者Aさんは「水田も湖も同じようなもんじゃね?」と思い、Bさんに相談。Bさんは「は?」とビックリ仰天したものの、研究を開始。
すると、現段階では湖ほどではないものの、魚を放流した水田でメタン排出量が激減。研究を続ければ、湖と同レベルまで削減できる可能性があるとのこと。
すごくないですか?誰かひとりでも「はい、無理むり」って思ったら、こんな結果にたどり着いていないんですよ。
植物を食べてメタンを放出する微生物、それを食べてメタンを放出する微生物、さらにそれを魚が食べて排出量を減らすという生態系の力のすごさと、疑ったり否定したりするのではなく、やってみる発想力とそれを支える決意。
人間が地球のウイルスではないことの証拠ともいえますよね。
自由な発想を支えるのは、自由な会話。
ということで、「気候変動を日常会話に」をますます目指そうと思えるストーリーでした。
【あわせて読んでほしい記事】◆ 気候ポッド 第13回 ~ 温暖化でお米がピンチ◆ 気候ポッド 第8回 ~ 人間は地球のウイルスなの?◆ イネ科の植物は気候変動による環境の変化についていけないという研究結果◆ 地球温暖化でワインがピンチ◆ 気候変動でコーヒー生産が危機に
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14/06/2020 • 18 minutes, 28 secondes Climate Pod_Episode_013.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2zfr4a7〓 Spotify: https://spoti.fi/2MJnd8l
今回のエピソードは、米の話です。アメリカじゃなくて、日本人の主食、お米の話です。
早速ですが、お米に関する事実から…。
・ コメの収穫量が減る可能性(地域によって増減)。・ コメの栄養価が減る。・ 世界の人口の約50%が、コメを含むイネ科(米、麦、トウモロコシなど)の植物を主食にしている。・ 途上国では摂取エネルギーの約70%と栄養分の大半がコメでまかなわれている。・ コメから得られるはずのタンパク質とビタミンの欠乏によって、発育不全、出生異常、下痢、感染症、早死にを引き起こす可能性がある。・ イネ科の植物が適応できる速さと比較して、気候変動による環境の変化が5,000倍~20,000倍の速さで進んでいる。・ 人口増によって栄養不足&食糧危機の可能性。・ 適応するためのテクノロジーに乏しい途上国は影響が特に大きい。・ 耕作可能地域に変化が起こることで、現存する農家の暮らしに影響。
ざっくりまとめると…。
コメの収穫量は減るわ、栄養価は減るわ、人口増えるわ、温暖化に適応不可能だわで、コメを主食にしている国の将来は大ピンチです。
たぶん、ここでポイントになるのは「将来」なんでしょうね。今世紀末の人たちが飢えそうな条件ばかりがそろっているのに、愚かな僕たちの世代はそれでも「今」を食べ尽くしていくのだと思います。
あ、ついでに書いておくと、コメだけじゃなく、コーヒー、チョコレート、ワインもピンチです。いつか、スタバのコーヒー1杯2,000円とか、チロルチョコ1個500円、グラスワイン1杯2,000円みたいな時代が来るかもしれません。
気候変動対策を怠ると、日本の主食がコメからポテチに変わってしまう可能性も。
え、それって悪くなくない?
【あわせて読んでほしい記事】◆ イネ科の植物は気候変動による環境の変化についていけないという研究結果◆ 地球温暖化でワインがピンチ◆ 気候変動でコーヒー生産が危機に
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11/06/2020 • 19 minutes, 36 secondes 気候ポッド 第12回 ~ 政治のお話: 命を救いながら命を奪うれいわ新選組の矛盾 Climate Pod_Episode_012.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2zfr4a7〓 Spotify: https://spoti.fi/2MJnd8l
ここ3回は、気候変動に関する政治への市民参加や、気候変動が政治的な問題とどう関わっているかについて話してきました。
今回のエピソードでは、日本の政党が気候変動問題にどのような姿勢で取り組んでいるかについて話しています。
具体的には、2019年の参院選で掲げていた気候変動政策を見ながら、「なにこれ?」と感じた政党というか、政治家というか、政策というか、支持者や有権者に与えてきたイメージとは真逆の主張をしている政党と政治家を批判しています。
とりあえず、環境保護団体である気候ネットワークによる2019年参院選における各政党の気候変動政策の評価を見てみましょう。
Image: 気候ネットワーク
自民や維新が気候変動政策なんぞどーでもいいという姿勢なのは、まあそりゃそうだよね、という感想しかないのですが、意外や意外なのが、弱者の味方というイメージが強い山本太郎氏のれいわ新選組の評価が低すぎるというか、弱者を殺す内容になっていて、意味不明なのですよ。
どういうことかというとですね…。
「原発即時禁止。被曝させない」これってたぶん、人々の(過去の発言から推測すると特に子どもの)健康や命を守るってことだと思うんですよね。
でも、その一方で…。
「エネルギーの主力は火力」えっと、化石燃料による火力発電が原因で、年間に数百万人が命を奪われている状況が続いているのに、子どもをぜんそくにさせたり殺したりするエネルギーを主力に据えると言ってるんですよ。
他にもポッドキャストでは彼の言動の矛盾について話をしているので、山本太郎氏を支持する方には特に聞いてみてほしいです。
れいわ新選組&山本太郎氏の支持者のみなさん、どう思うのかをぜひぜひコメントください。それでも彼と彼の政党を支持すると言うのならば、その理由を心の底から知りたいです。
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09/06/2020 • 29 minutes, 52 secondes 気候ポッド 第11回 ~ 政治のお話: 気候変動はすべての問題に影響するんだってば Climate Pod_Episode_011.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2YcMUUp〓 Spotify: https://spoti.fi/2UhxBIQ
2回続けて、一般市民がどうやって気候変動の政治プロセスに参加するかについて話してきました。
このエピソードは、気候変動が政治的な問題とどう関わっているかについて話しています。
とりあえず政治の話に入る前にですね、気候変動がぼくたち「地球市民」にとってどういう問題なのかハッキリさせておきますね。
「気候変動は、人類史上もっとも大きくて、もっとも深刻な、人類の存続がかかっている問題」
これが政治的判断を下す際に必要な前提条件になります。これを踏まえたうえで、様々な政策決定を行なわなければいけません。そのためには、選挙時に気候変動政策を最重要視している政党や政治家を選ぶ必要があります。
じゃあ、気候変動を最重要視するってどういうこと?って思いますよね。気候変動政策といえば、パッと思いつくのは二酸化炭素排出量の削減とか、再生可能エネルギーの普及みたいな、選挙のときにメインの話にはなりそうにない問題だっていう印象がありませんか?
選挙時って、争点になるのはまず「経済」ですよね。気候変動と経済って、めっちゃ関係してるんです。たとえば、2030年までに180兆円を気象警報システムやインフラなどに投資すれば、710兆円の恩恵があるという調査結果や、このままだと今後5年間で気候変動によって107兆円の経済損失が出ることになるけど、ビジネスチャンスと捉えて投資すれば228兆円の利益が出る、なんていう調査結果もあるんですよ。
「気候難民」って聞いたことないですか?気候変動の長期&短期的な影響によって住む場所を追われて国内外に避難する人たちがそう呼ばれているのですが、すでに毎年世界中で約2000万人が気候変動によって家を失っています。また、2050年には気候変動が原因で約1億4300万人が気候難民化するといわれています。
温暖化の原因をつくってきた日本には、気候難民問題を解決する義務があります。日本には、経済援助だけじゃなく、移民として気候難民を受け入れる義務があると思います。そうなると、これは移民問題だけじゃなく、外交の問題でもあるといえます。
日本国内にも、すでに気候難民はいます。昨年の台風や、数年前の西日本集中豪雨などで家を失った人たちは、気候難民です。もう他人事じゃないんです。
これ以外にも、健康の問題でもありますし、雇用の問題でもあります。社会保障やジェンダーの問題もあります。気候変動はぼくたち生活のありとあらゆる問題とつながっていて、無視しても軽く見てもいけないんです。
とまあ、こんな感じで、どうして気候変動が政治の中でも最も重要な位置を占めなければいけないのかについて話しています。
次回のエピソードでは、正しい政党と政治家の選び方について話すのですが、「気候変動対策をしっかりやってくれそうだ」と感じている政党はありますか?気候変動から守ってくれそうだと信じられる政治家はいますか?
ぜひぜひコメントくださーい。
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気候ポッド 第10回 ~ 政治のお話: 請願書を出してみて気づいたこと 後編 Climate Pod_Episode_010.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2XwL7dv〓 Spotify: https://spoti.fi/2Y6X7Bs
「気候変動を日常会話に」を目標にしているこのポッドキャスト。理由は、政治に積極的に参加したいわけでもないごくごく普通の一般市民でも、気候変動を取り巻く政治的なプロセスに参加できるようになるため。
今回のエピソードは、前回に引き続き、ポッドキャスターのニコが『気候非常事態宣言』を求めて地元の自治体に請願書を出したときに「おかしいやん」って感じたことを話しています。
市民の政治参加といえば、選挙で投票、議員への電話やメール、デモなどの抗議活動、ストライキなどがありますが、請願書や陳情書の提出もそのひとつ。
平日の昼間に活動できなければ提出も、提出後の議会活動の確認(傍聴など)も不可能なうえに、決して積極的に動いてくれるわけではない議員たちに歯がゆさを感じたりしながら、それでもあきらめさせなかったのは、変えたいという「気持ち」。
いろんなことを決めていくのは政治だし、それを動かしていくのは、わたしたちが選挙でえらんだ(積極的に選んだのか、選ぼうとしなかったことで選ばれてしまったのかは置いておくとして)議員たちです。
でも、忘れちゃいけないのは、議員は「わたしたちを代弁する声」でしかないということなんじゃないでしょうか。あくまでも、政治を動かす力を持っているのは、わたしたちのような「普通の人々」なんです。
自治体なり国なりの「本当のボス」は誰なのか。議員にも勘違いさせちゃいけませんが、わたしたちも、自分が持っている力を過小評価してはいけないんです。
「ボス」は、わたしたちです。
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05/06/2020 • 23 minutes, 48 secondes 気候ポッド 第9回 ~ 政治のお話: 請願書を出してみて気づいたこと Climate Pod_Episode_009.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2zU2MTm〓 Spotify: https://spoti.fi/2Xs4vs7
「気候変動を日常会話に」を目標にはじめたこのポッドキャストですが、どうして日常会話にしたいかというと、最終的にはなんでもかんでも政治が決めることになるからなんですよね。
どういうことかというと、政治って日常生活に影響するようなことを決めるじゃないですか。税率だったり、最低賃金だったり、頼みもしないのに眼帯のような小さいマスクを自分で買えるようになってから送りつけたり、みたいな。
有権者に選ばれた議員たちが政策を決めていくわけだけど、そこに一般市民が積極的に関わっているかというと、現状をみると国から市町村レベルまで、議員たちがなにやってんのかよくわかんなくないですか?
だってね、庶民のほとんどは平日の昼間に働いて、週末に休みますよね。なのに議会って、平日に開かれて、週末は休みやがりますよね。モノ申したい市民はいったいいつ声を議会に届ければいいんですかー?って話なんですよ。
ポッドキャスターのニコは、気候非常事態宣言を求めて、地元(岩手県、金ケ崎町、矢巾町、紫波町)に請願書を出しまくったんですが、どこもかしこも請願書の紹介議員との打ち合わせや手続きは平日の昼間にしかできないことが多くて、平日に働いてたらできひんやんか状態でした。
で、カフェを経営しているニコは、請願書を提出するためにカフェを閉めるしかなくなってしまったんだそうです。温室効果ガス排出ゼロを目指して、カフェの売り上げはゼロどころかマイナスに…。
市民のための場のはずなのに、市民から遠く離れた場所で、顔も名前も知らないおじさんたちが運営しているという、誰のための議会なのってなことが平気で起こっているんです。
このエピソードでは、そんなわけのわからないシステムの中で、請願書提出手続きを行なったニコの「しばいたろかトーク」が炸裂しています。
市民が選挙以外の方法で民主主義を使うためにも、これはみんな怒った方がいいと思います。こんな世の中なのに庶民が冷静でいたら、なにも変わらないどころか、いいように変えられてしまいます。
リスナーのみなさんは、どんな風に政治と関わっていますか?「こんなことしたら議員さん動いてくれたよー」とかがあったら、ぜひぜひコメントくださーい。
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03/06/2020 • 15 minutes, 48 secondes 気候ポッド 第8回 ~ 人間は地球のウイルスなの? Climate Pod_Episode_008_RN.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/3ezEixB〓 Spotify: https://spoti.fi/2XTSpXY
今回のエピソードでは、ギズモード・ジャパンで配信された「人間は地球のウイルス説」をいま持ち出すのは見当ちがいという記事で問いかけられている「人間は地球のウイルスなの?」をテーマに話をしています。リンク先の記事を読みながら、このポッドキャストを聴いてもらえるとうれしいです。
新型コロナウイルスの大流行は、大気汚染が改善したり、街に野生動物が戻ってきたりという、思いもよらない副産物をもたらしました。そんなこともあって、「新型コロナは人間に厳しく自然にやさしい」「人間が地球にとってウイルスのような存在」「罰が当たった」などという言説がSNSを飛び交うことになりました。
たしかに、表面だけをみると、新型コロナによって中国やイタリアの大気汚染は一時的に改善したし、都市のあらゆる場所で野生動物を見かけるようになりました。また、このウイルスはお金持ちにも、有名人にも感染したことから、誰に対しても平等なんじゃないかって感じてしまうのもわからなくはありません。
でもね、新型コロナはまったく平等でも公平でもないんですよ。気候変動と同じように、コロナは社会的弱者を狙い撃つスナイパーのようです。アメリカでは、黒人の死亡率が異様に高くなっています。
社会に守られていない人を、このウイルスは守ってくれません。人間も自然の一部だと考えると、新型コロナは決して自然にやさしいわけじゃないんです。
それに、散らかした人が片付けないと。人間が壊して散らかしたものをウイルスに片付けてもらうなんて恥ずかしいじゃないですか。
新型コロナは、人類がひとつになって生き方を変えれば、遠く離れた場所にいる人たちの命を守ることも、自然環境を元に戻すこともできるって教えてくれたんじゃないかなってぼくは思っています。
みなさんは、どう感じましたか?
記事を読んだ感想や、ポッドキャストを聴いて感じたことをぜひぜひ教えてください。
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01/06/2020 • 30 minutes, 35 secondes 気候ポッド 第7回 ~ オーストラリアの森林火災と日本の切っても切れない関係 Climate Pod_Episode_007.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2XHmE4f〓 Spotify: https://spoti.fi/2TR5G2c
2020年はあまりにもいろんなことがありすぎて、1月や2月の出来事がまるで何年も前のことのように感じます。
去年の9月頃からはじまったオーストラリアの森林火災もそのひとつ。みなさん、覚えていますか?今回のエピソードは、そのオーストラリアの森林火災についてです。
ぼくにとって、オーストラリアの森林火災といえば、コアラのルイスです。レスキューされたあと、やけどの回復が見込めないため、安楽死処分になりました。
Woman saves scorched koala from Australian bushfire
当時も、今も、ぼくがルイスを殺したと思っています。
森林火災の直接の原因は、人間の不注意や故意による発火がきっかけだと言われていますし、一般的に森林火災の原因でもっとも多いのは、人間によるものです。でも、燃え広がりやすい状況を作っているのもまた人間です。
気候変動が森林火災を深刻化させるのは、年々ハッキリとわかってきています。
さて、コアラやカンガルーのレスキューが象徴になったオーストラリアの森林火災ですが、日本人にとっては、地図上で見るよりも近い問題なんだってこと、知ってますか?
オーストラリアは、世界最大の石炭輸出国で、日本はそのオーストラリアから最も石炭を輸入している国なんです。日本に住む私たちはその石炭を火力発電所で燃やすことで、私たちの生活に必要なエネルギーの多くを得ています。
オーストラリアと日本の関係がわかる事実をいくつか挙げておきます。これらを踏まえたうえで、ポッドキャストを聞いてみてください。
・ オーストラリアで採掘された石炭の70%が輸出されている。・ これは、世界中から輸出されている石炭の約30%にのぼる。・ 日本は石炭の62%をオーストラリアから輸入。
オーストラリアの森林火災では、コアラやカンガルーを含め、12億5000万頭ともいわれる動物や生物たちが命を奪われたといわれています。
「日本は関係ない」って言えますか?
【参考記事】◆ 「燃え盛る炎をみつめる消防士の隣にコアラ」の写真は、気候非常事態を完璧に捉えた1枚|ギズモード・ジャパン◆ 推定12億5000万匹の動物が犠牲に。オーストラリアの森林火災が本当にやばい|ギズモード・ジャパン◆ 「安全な」地球温暖化なんてないよ。|ギズモード・ジャパン
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30/05/2020 • 24 minutes, 24 secondes Climate Pod_Episode_006.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2TL9OAS〓 Spotify: https://spoti.fi/2XwaISI
このポッドキャストは「気候変動を日常会話に」を目標に、「3低(意識も知識も低いけどその分敷居も低い)」の場所を目指しているわけなのですが、そのためには、数少ないリスナーのみなさんからの意見や質問、感想なんかがとてもとてもありがたいんですね。今はまだときどきもらったコメントなどに触れるくらいしかできていませんが、そのうちそういうコメントに答えるだけのエピソードを作りたいねって相方と話しています。
今回のエピソードでは、リスナーの方から「子どもの権利」について話をしてほしいというリクエストをもらったので、「おっさん病患者」のせいで気候変動や環境汚染による被害を受け続けている子どもたちの問題について話をしています。
「大人の言うことを聞きなさい」と言われてその通りにして生活していたら汚い水や空気の中で生活させられて病気になったり、命に危険が迫るレベルの気候を引き継がされたりするのに、大人たちはいったいいつまで今いる子どもたちとまだ生まれていない子どもたちの未来を奪い続ければ気がすむんでしょうね。
最後に、一部の企業と富裕層のために作りあげられた世界のせいでどれくらいの子どもたちが犠牲にされているか、事実を並べておきます。
・ 年間に60万人の子ども(15歳以下)が大気汚染によって殺されている(WHO)。・ 世界中の子どもの93%が、健康に悪いレベルの空気を吸わされながら生活している(WHO)。・ 2016年に死亡した5歳以下の子どものうち、10人に1人は大気汚染が原因だった(WHO)。
未来を選ぶことができる大人として、地球市民の一員として、子どもたちにどんな世界を残したいですか?
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28/05/2020 • 29 minutes, 26 secondes 気候ポッド 第5回: ファストファッション ~ どうしてそんなに安いのか? Climate Pod_Episode_005.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2M0kNlm〓 Spotify: https://spoti.fi/3egSlIa
どんよりしたりムカついたりする『おっさん病』のエピソードが続いて、そのあとは抽象的なアクティビズムってなんだ?みたいな話題でちょっとポッドキャスターの心も疲れ気味になったところで、今回はもう少し身近なことをテーマにしてみました。
というわけで、このエピソードでは『ファストファッション』について話しています。
ファストファッションとファッション産業全体でどれくらい環境に悪影響を与えているかをまずはざっくりとまとめてみましょう。
・ 2014年に消費者が購入した衣類は、2000年に比べて60%も増えているんですね。なのに、着る期間は半分に減少(つまりたくさん買うのにあまり着ない)。・ 国連環境計画によると、毎秒トラック1台分の衣類が焼却または埋め立て処分に。・ 毎年製造される衣類全体の85%が埋め立て処分に。・ 衣類を洗濯することで毎年50万トン(ペットボトル500億本分)のマイクロファイバーが海に流入。・ ポリエステルは着てるだけで洗濯するよりも3倍のマイクロプラスチックを大気中にばらまいている(人間が歩くマイクロプラスチックばらまきマシーン化)。・ 人間活動による二酸化炭素排出量の10%をファッション産業が占める。で、業界がこのまま対策を怠ると、2050年までにその割合は26%まで増加する見込み。・ 産業としては世界で2番目に大量の水を消費。コットンのTシャツ1枚作るのに2,700リットルの水を消費。
とまあ、こんな感じです。直近3つ分のエピソードで疲れた心にむち打つファストファッション…。
こんな風に、環境に負担をかけまくっているファストファッション業界について、こんな疑問を感じたことはないですか?
・ どうしてこんなに安いのか?・ なんでこんなにたくさんの服をいつも置いておけるの?・ 服を手に入れやすくなったけど、なにか大切なものを失ってない?
自分の着ている服の原材料がどこでつくられて、服がどこで製造されて、どんな流通経路をたどって店舗に届いて、それを自分が手に取ることになったのか、そのすべての通過点(サプライチェーン)で働いている人たちの労働条件はどうなっているのかなどに思いを巡らせて、これからどんな風に洋服選びをすればいいのかなって考えるきっかけになればいいなっていうのが、相方とぼくの願いです。
【参照記事】◆ 大量の水の使用、そして85%はゴミに…ファッション業界は環境へ大きな影響を与えている|Business Insider◆ 「世界で2番目に環境問題を引き起こす業界」の変化と現状とは?| 電気プラン乗換.com
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26/05/2020 • 28 minutes, 16 secondes 気候ポッド 第4回 ~ ビジョンは頭じゃなくて心で描く Climate Pod_Episode_004.mp3Apple Pods: https://apple.co/2LVNxM4Spotify: https://spoti.fi/2Twhq9W
「気候変動を日常会話に」
こんなコンセプトを掲げてはじまったこのポッドキャスト。どんな意味かというと、友だちや家族との日常会話で難しい知識(科学的事実とか)を共有しあうことなんてほとんどないですよね。大切に思いあってる人間同士が、何を大切にしているのかを、ある出来事や事実を通して共有しあう。それが日常会話だと思うんです。くっだらないことから、社会問題まで、対象になる話題は尽きないと思います。
だから、ポッドキャストを一緒にやっている相方とここは「3低(意識も知識も低いけどその分敷居も低い)」の場所にしようと話し合って決めました。
今回のエピソードでは、グレタが広めてくれてから見聞きするようになった「気候正義」のルーツとなる「環境正義」のルーツの話に軽く触れたり、最も新しい環境正義問題として、米先住民のスタンディングロック・スー族によるダコタ・アクセス・パイプライン建設反対運動について触れたりしています。
いろいろごちゃごちゃと書きたいこと、伝えたいことはあるのだけど、そういうのは聞いて感じてもらうとして、ずっと自分に問いかけてきた質問を残していきます。知識は邪魔しかしないので、いろんなしがらみを取っ払って、頭ではなく、心で考えて答えを出してもらえれば。
みなさんは、どんな世界で生きたいですか?
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24/05/2020 • 27 minutes, 37 secondes 気候ポッド 第3回 ~ 『おっさん病』ってなんだ?後編:気候変動の原因はおっさん病? Climate Pod_Episode_003.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2APgnLT〓 Spotify: https://spoti.fi/2ZqIg7i
前回のポッドキャストでは、『おっさん病』とはなんぞや?という話をしました。
今回はその続きで、気候変動の原因は『おっさん病』という話をしています。
化石燃料産業、化石燃料産業に有利な政策をつくる政治家、政策を研究し草案を作るシンクタンクとロビイストなど、気候変動に関する行動や政策に関する決断を下すポジションは、どこを切ってもおっさん(アメリカの場合は白人のおっさん)の金太郎あめ状態なのです。
この記事の下部に、石油産業やその他大手多国籍企業、各国政府などがおっさん病全開で化石燃料を推進して温暖化を深刻化させてきた様子がわかる記事へのリンクがあります。
産業革命以来ずっと続いてきた化石燃料(=おっさん)中心の社会がつくってきたのは、古い価値観(強欲な資本主義ともとても相性が良い)による差別や格差です(参照:パイプライン建設に先住民が抗議の座り込み 環境正義問題へと発展)。
そして、多くの大切なものを壊してきました(参照:【独り言】産業革命以降の人類が変えてしまったもの)。
気候変動や環境問題への取り組みについて、よく「私たちひとりひとりにできることがあります」というような言葉を見聞きしますが、個人にできるもっとも効果的な気候危機対策は、おっさん病の根絶かもしれないですね。まずは、自分の身近にあるおっさん病をなくすところから。
【あわせて読んでほしい記事】◆ 温暖化の深刻さを知りながら排出規制を妨害し続けたエクソンモービル社◆ エクソンモービル社とコーク産業による気候変動否定派ネットワークの構築と世論及び政界への影響◆ 化石燃料への税控除や投融資が世界で総額55兆円(日本は2兆4千億円)◆ 90社が温室効果ガスの約3分の2を排出しているという研究結果◆ 【よくある間違い】人為的温暖化説はコンセンサスを得られていない◆ やっぱり人為的地球温暖化のコンセンサスは得られているという研究結果
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22/05/2020 • 21 minutes, 11 secondes 気候ポッド 第2回 ~ 『おっさん病』ってなんだ?前編 Climate Pod_Episode_002.mp3〓 Apple Pod: https://apple.co/2XeuRfN〓 Spotify: https://spoti.fi/2WKaisF
いきなりですが、みなさん『おっさん病』ってご存じですか?
すごく身近な場所で蔓延していて、世界中で多くの命を奪っているというのに、まったく罪に問われる気配どころかほとんど問題にならないこの『おっさん病』が今回のテーマです。
なかなか定義付けが難しいのですが、おっさん病を簡単に説明すると…
差別や格差などの不公平や不公正を巧みにつかい、他者から精神的・物理的・経済的な利益をむさぼることを正当化する化石のような古い価値観や世界観。また、社会経済的に優位な立場を利用してこのような価値観を他者に押しつけて黙らせ付き従わせようとするために用いられる言動。
とまあ、こんな感じです。たとえば、自己責任論を振り回したり、男性が女性らしさを決めたり、男性が女性の教育やキャリア構築の機会をコントロールしたりすることなどがパッと思い浮かびます。詳しくは本編をお聞きください。
社会をむしばみ、気候変動も含めてほぼすべての社会問題の根本的な原因になっているおっさん病を克服できれば、思いやりと優しさにあふれる、人間同士も、人間と自然も調和のとれた美しい社会をつくっていけるはず。
そういう公平や平等を大事にする世の中は、気候変動によって激化した自然災害などにも強くしなやかな対応力を持つことができます。
そのためにも、まずは身近に潜む『おっさん病』をみつけて克服し、おっさん病への抗体をゲットしましょう。社会からおっさん病の居場所がなくなれば、誰もが生きやすい世の中になっていきます。もちろん、おっさんたちにとっても。
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20/05/2020 • 18 minutes, 12 secondes 気候ポッド 第1回 ~ ポッドキャスト&ポッドキャスター紹介 Climate Pod_Episode_001.mp3
〓 Apple Pod: https://apple.co/2ZmdU5J〓 Spotify: https://spoti.fi/36cmPIC
2015年からブログを、2016年からはTwitterを連動させて、気候変動や環境問題についてひとりでも多くの人に知ってもらって、考えてもらって、行動を起こすきっかけになればと思って続けてきましたが、新型コロナウイルスの影響で外出を自粛したり、テレワークをしたりして自宅にいる機会が多くなった人は少なくないと思います。
ほぼ休眠中のブログ(ここしばらくでやったことといえば、独自ドメインを取得したことくらい)をなんとか冬眠から目覚めさせられないものかと考えていたのと、新型コロナと、以前から「気候危機問題をなんとかするために一緒になにかやりませんか?」と誘ってくださる方がいるのとが相まって、聴く側の立場から興味を持っていたポッドキャストをはじめることにしました。
定期的になるのか不定期になるのかどころか、まだポッドキャストの名前すら決めていない状況ですが、見切り発進ではなく、ハッキリと発進・発信していくつもりです。
テーマというか、ポリシーというか、目標というか、そういうビジョンめいたものは、「気候変動や社会問題を日常会話に」というのと、「意識も知識も低いけど、その分敷居も低い『3低』のポッドキャスト」というのと、「聴取者のみなさんも参加できるポッドキャスト」を目指していこうと思っています。
説明が長いのもあれなので、どんなポッドキャストになりそうな気配なのか、どんな人がどんな思いでこのポッドキャストを育てていこうとしているのかを、耳と心を傾けて確かめてもらえれば。
気候変動や環境問題、それを生み出したり影響を受けたりしている社会問題を日常会話にしたいという考えをポッドキャストにも反映させたかったので、話し手ふたりも日常会話的なゆるい感じでダラダラと話しています。
人類が直面した最も深刻な問題を解決するためにいま必要なのは、家族や友だち、同僚たちと気候変動の話をすること。その会話を続けていくことです。それが選挙での議員の選び方や政策づくり、社会のあり方に大きな影響を与えます。
気候変動の話をもっと気軽にはじめてみませんか?
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12/05/2020 • 32 minutes, 48 secondes